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「総合小説」の凋落と「総合漫画」の進出。 [小説]

■以前村上春樹氏がどっかで書いてたが、「総合小説」を書きたいけど、現状では個々人の置かれる状況が昔と比べて複雑すぎてとても無理だと。確かドストエフスキー「カラマーゾフの兄弟」を念頭に置いたコメントだったかなと。確かに今の日本文学(海外文学まではとてもカバーは無理)では、総合小説らしきものは見当たらない。

■しかし漫画の分野においては、ヒット作は長尺になる傾向が強い。「バガボンド」とかね。特にボクシング漫画「はじめの一歩」は作者が「登場人物はみんな主人公」と公言してるように、それって総合小説と似てない? というか総合漫画か。

■まあこのご時世の出版不況、小説だろうが漫画だろうが厳しい状況に置かれているのは間違いないんだけど、小説と漫画で真逆の反応っていうのは面白い。

■ただ「総合漫画」に限らず、漫画とか映画とか視覚的に情報量が多いものは、読者や視聴者の想像力をかなりの範囲で奪ってしまうのは確かだ。無粋を承知で書けば、映画とかだと監督がマーケティングの原則を分かってて、必要なシーンをぽっかり抜いて視聴者の想像力に委ねる、っていう作品は多々ある。これはプレゼンテーションの技術と似たところがある。

■そういう意味では、全部じゃないけど漫画は若干硬直化してるかも。小説だって新たな「総合小説」って、昔と違った視点で書くのは不可能ではないと思う(お前が書けよ、って言われても無理だから)。村上春樹氏も「1Q84」でトライしてるのは分かるんだけど、自分的には「総合小説」とは思えない現状。
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