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きみはいい子 [映画]

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■2015/6/27鑑賞@109シネマズ川崎。今年41本目の邦画21本目。監督:呉美保、脚本:高田亮、P:星野秀樹という、呉監督の前作『そこのみにて光輝く』と同じ布陣。観た理由はまさにそれ。自分の中でも評価が変動しつつ(結局映画館で3回観た)、でも深い痕跡を残してくれたスタッフの次作だもの、観ないわけにはいかないじゃないか。

■原作は中脇初枝さんの同名小説。連作の短篇集から3つのエピソードを拾って構成したらしい。未読です。原作の舞台は知らないし映画の中でも明示されてはいないけど、画を観れば行ったことのある人は分かる通り、この映画の舞台は小樽です。『そこのみにて光輝く』も舞台は函館だったので、呉監督的に北海道が舞台の連作になる。ただ、観光的な映像は避けながらも函館の匂いが出ていた『そこのみ』と比べ、この映画には小樽を感じさせる映像はない。というのも、一般的に想像される小樽駅前の画や、小樽運河の画はまったく出てこない。駅で言うと、小樽駅から二つ離れた小樽築港駅周辺だと思うので。確かに「どこの街にでもある話」だ。

■エピソードは主に3つ。
・その1。新任の小学校教師でイマイチ児童や親の信頼を得られず、彼女にはそっけなくされてへこんでいる岡野(高良健吾)が、クラスの中で義理の父親にDVを受けているらしい児童に対しどう対処するか逡巡する。
・その2。夫が単身赴任のため娘と二人で生活している雅美(尾野真千子)。過去の記憶に囚われ娘につい手を上げてしまう。そしてママ友の陽子(池脇千鶴)との話。
・その3。高齢で一人暮らし、自身が認知症じゃないかと心配しているあきこ(喜多道枝)と、スーパーの店員で障害を持つ子を持った和美(富田靖子)の話。

■正直、楽しいエピソードはほとんどないし、気が滅入るような話ばかり。だけど現在の日本で多くの人が直面している現実なのだろうと思う。若干ネタバレになるけど、結末だって全ての問題が解決するわけじゃない。ただ、舞台を小樽に選んだせいなのか(以前から書いてますが北海道舞台の映画は評価が+20%)、監督の視点のせいなのか、登場人物すべてに優しい目線が注がれている。

■俳優陣もいい。悩む新人教師の高良健吾、それにいつもの役柄とは真逆のDV母の尾野真千子の芝居は凄い。そして、『そこのみにて光輝く』では不倫カップルだった池脇千鶴と岡野の同僚教師役の高橋和也がきっちり抑えている。この二人、劇中では匂わす程度でしかなかった(カラミのシーンなし)んだけど夫婦って設定らしい。クレジット順から見ると、尾野真千子がヒロインのようにも取れるが、劇中では高良健吾と尾野真千子の接触はないです。

■すごくいい映画だし、確かに「誰かを抱きしめたり、抱きしめられたくなる映画」。子供のいないオレでも結構泣きました。ただ、配給会社がマイナーで(失礼)、公開館が40数館でヒットするわけないよね。ここはクチコミで評価を拡散させて、公開館を拡大するしかないと思うのです。

■ホントにねえ、女子高アニメが興収一位って終わってるわ(と最後に毒を吐く)。


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