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東京日和 [映画]

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■目黒シネマはときどき面白い企画をやることがあり、今回の「たけなかなおとの小宇宙」もその一つ。一週間にわたり竹中直人監督作全7本を日替わりで上映し、かつ竹中監督のトークイベントを挟むというもの。この日は『東京日和』と『無能の人』。2016/3/21鑑賞。今年34本目の邦画11本目。トークイベントの感想は『無能の人』のエントリで書きます。

■実はこの映画、97年の封切時に劇場で観ているしDVDも持っている。十数回は繰り返し観たので話は全部頭のなかに入っている。でも久々に劇場のスクリーンで観たいと思った。まあ何というか、特別な映画なのです。別にこの映画で人生が変わった訳でもなんでもないが。

■写真家の島津巳喜男(竹中直人)は、写真集の打ち合わせのために家に来る予定の編集者・水谷(松たか子)を待っている時に、数年前に亡くなった妻・ヨーコ(中山美穂)の回想を始める。

■広告代理店を辞めて独立したはいいものの、あまり仕事のない島津と情緒不安定なヨーコ。島津はヨーコの突飛な言動にたびたび翻弄される。二人とその周辺の人々に起こることを散文的に描いた映画。そしてこの映画のクライマックスは、島津とヨーコの柳川への旅。

■荒木経惟・陽子夫妻の同名フォトエッセイが原作となっているが、夫妻の置かれた環境と、陽子(ヨーコ)が子宮筋腫で早逝した点以外はだいたい創作だと思う。わたくしこの映画で初めて脚本の岩松了さんを認識したのだが、現在の作風にも通じるシュールさがある。分かりやすい恋愛映画では決してない。

■だが、竹中監督の小津安二郎や成瀬巳喜男を意識した画枠と、世田谷線や東京駅周辺、柳川を中心とした丹念な映像描写、そして大貫妙子の劇伴(オーケストラ編曲は坂本龍一)が相まって、自分の中には強い印象を残した映画。中山美穂出演の映画ではこの作品はベストである。

■上映時は当時の女友達と一緒に行ったのだが、終映後出口に貼ってあったポスターを見て嗚咽が止まらなくなってしまった。それを女友達に「大丈夫だから」と慰められたのが今考えてもメチャクチャ恥ずかしい。当時で30過ぎてましたがな。

■えっと、劇中で中島みゆきがママで客に森田芳光監督がいるという設定のバーは、新宿三丁目あたりに実在する「ふらて」という店です。先輩とその店で飲んでてこの映画の話をしてたところ、店の人が「ここでロケしたんですよ」と言ったので気付いた。それ以来年に一、二度は「ふらて」に行っている。安いし、週末の新宿でも今まで満員で断られたことはたった一回しかないので。

■ともかく、オレにとっては特別な映画なのです。

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