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無能の人 [映画]

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■2016/3/21鑑賞@目黒シネマ。今年35本目の邦画12本目。『東京日和』同様、目黒シネマの「たけなかなおとの小宇宙」企画で観た。以前レンタルビテオで見たことがあるはずなのだが、基本設定以外内容はほとんど覚えていなかった。まあ四半世紀前(1991年)の映画だから、オレの記憶力だとそんなもんか。

■つげ義春の同名漫画作品集が原作。かつてはそこそこ漫画家として食えていた助川助三(竹中直人)は漫画の依頼が途絶え、中古カメラ業などの商売をやってみたがすべて失敗し、今は多摩川の河原に掘立小屋を建てて、そこで河原から拾った石を売っている。もちろん商売になるわけもなく、実際は妻・モモ子(風吹ジュン)のパートの収入で、一人息子・三助と三人で暮らしている。助川は漫画を書く意欲が沸かないため、なんとか石屋で食えないものかと、石屋の権威と言われる人に弟子入りしたりとか策を弄するのだが。

■つげ義春を知っている人は、おおむねオレと同世代かそれ以上だと思う。シュールな作風なので、原作漫画に忠実なこの映画も当然シュールである。面白いのはキャスティングで、恐らく竹中直人の人徳なんだろうが、原田芳雄・三浦友和・いとうせいこう・大杉漣・神代辰巳監督や、往年の映画スター・久我美子や須賀不二男などなど。書き切れません。特に神代辰巳監督の劇中の役「鳥男」は、映画『バードマン、あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』と、名前だけではなく映画の中での設定まで奇妙な一致が。もちろん偶然なんだろうけど。

■当然結末も明快なわけでもなく、どうにでも取れる、というかこの親子はその後どうなったんだろう、と妄想を掻き立てられる。当時キネ旬ベストテンで4位だったみたいだし、結構評判だったのはぼんやりと覚えている。

■竹中直人監督のトークイベント。今までも『くちづけ』の舞台挨拶とかを観たことはあるが、映画の内容をアピールするにはちょっと本人のサービスが過剰すぎる、という印象だった。前から2列めの席で観たのだが(アイドルの追っかけか)、ま、自意識過剰でシャイな人なんだろうなとは思った。ワイン片手に登壇してきたし。驚くべきはその映画への博識ぶり。やはりプロの役者というのはそういう素養が必要なんだろうな、とも。もちろん映画マニアがプロになれるというのとはまったく違う話ですが。竹中さんが今後のお薦め映画と言っていた『ボーダーライン』は観に行こう。

■観客からの「沢山ドラマや映画に出てらっしゃいますが、選ぶ基準や優先順位は何ですか?」という質問に対し、基本的に依頼された仕事は全部受ける、とのこと。ただ例外的に『のだめカンタービレ』のシュトレーゼマンの役は「だってドイツ人だぜ?おかしいじゃん!」と断ろうとしたが丸め込まれてやってしまったとのこと。でも結果としてはやって良かったとのこと。やはりこの人、プロの役者というか、名バイプレイヤーだわ。

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