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日本で一番悪い奴ら [映画]

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■2016/7/2鑑賞@TOHOシネマズ川崎。今年77本目の邦画36本目。『クリーピー 偽りの隣人』のエントリで書いた通り、入院していたので退院後初の約10日ぶりの映画。そっちの中毒のほうが心配だよ。

■本作の白石和彌監督の前作『凶悪』は本当に怖かった。緩みのない構成でギリギリと観客を追い詰めていくような感じ。今作とかぶる役者はピエール瀧だけなんだけど、『凶悪』で本当に恐ろしい役を演じたリリー・フランキーから主演の綾野剛は白石監督を紹介されたらしい。なんだか面白いね。綾野剛は前作『ロクヨン』で真面目な県警の広報担当をやっていたのだが、ちょっとピンと来なかった。この人にはこういうクレイジーな役が絶対似合うと思っていたので。

■この映画も恐ろしいことに実話ベースみたい。以前に何かで聞き知ってはいたけど、北海道警の、稲葉圭昭という元刑事の『恥さらし 北海道警 悪徳刑事の告白』という著書が元になってるようだ。もちろん映画化に関しては脚色はされてるだろうけど。

■大学時代、全国級の柔道選手だった諸星要一(綾野剛)はスカウトされるまま北海道警に就職し警察官になる。要領の悪い諸星はデスクワークを押し付けられて、なかなかうだつが上がらない。そこへ先輩刑事の村井(ピエール瀧)から、暴力団内にS(スパイ)を作る方法を教示され、愚直な諸星はススキノに顔を売って違法捜査にのめり込んでいく。そして拳銃の検挙率を上げるために、ヤクザの黒岩(中村獅童)と組み、ヤク中の太郎(YOUNG DICE)やパキスタン人のラシード(植野行雄)の協力を得て金銭で拳銃を買い、成果を上げ続けるが・・・。

■『凶悪』が本当に恐ろしかったのと違い、この映画では悪徳刑事に成り上がっていく綾野剛の描写が痛快で、少なくとも前半はピカレスク・ロマンの匂いさえ漂う。そもそも主題歌がスカパラという時点で、白石監督の狙いはその辺だったのかなとも思えるし。ネタバレは避けますが、後半、あることがきっかけで物事がうまく進まなくなり、仲間の絆も途切れて諸星は追い込まれる。

■綾野剛の渾身の演技は素晴らしい。諸星は愚直というよりむしろ踊らされたバカで、それを体現しているところに妙な色気を感じる。やっぱこの人には変な役が絶対似合ってる。

■大変面白い映画なんだけど、事実に基づいているせいもあるのか、映画の中では諸星を手駒として動かしていた北海道警の上層部の巨悪との対立が、まったく見えて来なかったのが構成的には残念。組織に使い捨てられた男の悲哀という意味合いもあるのだろうが。

■我々一般市民には、拳銃の摘発を金で処理していたことの真偽はわからないけど、少なくとも警察の交通違反の取り締まりにはノルマがある、ということは、警察は公式には絶対認めないけど、車やバイクを運転している人ならば、見えにくいところで取り締まっているとかで実感できると思う。なので北海道警の腐敗、いや全国の警察の腐敗も、あるとこにはあるんだろうな、と。

■しかし、この綾野剛のポスター、カッコいいなあ。

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