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永い言い訳 [映画]

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■2016/10/16鑑賞@TOHOシネマズ川崎。今年110本目の邦画54本目。

■本作の西川美和監督の作品は、劇場では初見。前作、松たか子&阿部サダヲの『夢売るふたり』はWOWOWで見て凄く面白かったので。本作の企画にも携わっている是枝裕和監督の弟子筋の方ですね。原作の同名小説も西川監督の筆によるもので、直木賞候補作にもなったとか。存じ上げませんでした。基本的にオリジナル脚本の映画化に拘る監督さんのようです。素人ながら思いますが、企画を通すだけでも非常に難しいはずなので凄いです。師匠の是枝さんもたまに原作物を混ぜているんだけどね。昔の邦画巨匠のパターンなんだろうけど、原案あり主体の監督さんと比べて、どちらがいい悪いというのは言えないです。柔軟な方の方が好きなんですが、それはオレの個人的な好み。

■人気作家の津村啓こと衣笠幸夫(本木雅弘)は、美容院を経営する妻・夏子(深津絵里)と二人暮しで子供はいない。小説家よりTVバラエティのクイズ回答者としての方が目立っている現状。夏子が高校時代の友人・ゆき(堀内敬子)とスキーバスツアーに出かけた夜、幸夫は家に編集者の智尋(黒木華)を連れ込みベッドに入っていた。朝、幸夫のもとに連絡が入り、夏子がバス事故で死んだことを知り呆然とする。

■うまく感情を整理できない幸夫は、バス会社との補償交渉の席でゆきの夫・陽一(竹原ピストル)にいきなり距離を縮めて話しかけられる。陽一はトラック運転手で家を空けることが多いため、母を亡くした長男の真平は、妹・灯の面倒を見るために有名中学校の受験を諦めようとしていた。見かねた幸夫は週二回のヘルパーを申し出るが。

■自意識が過剰で(『何者』に続いてだ!)すでに心が離れていた妻の突然の死を素直に悲しめないめんどくさい男を本木雅弘が懸命に演じている。映像は素敵だけど、気軽な感情移入を絶対に許さない西川監督の脚本・演出は厳しくも凄い。主人公の視点が常にふらふらするのだ。思い込みかもしれないけど、「映画は覚悟して観よ」という監督のメッセージなのかも。

■いい映画だし、ベイマックス(仮)先輩とかは大絶賛なのだけど、オレ的にはもうひとつ。正直言うと本木雅弘の演技があまり肌に合わない。なんとなくわざとらし過ぎて。あの周防正行監督の大傑作『シコふんじゃった。』においてもです。ただこれはオレの個人的な感覚なので、本木雅弘ファンの方々はお願いですから気を悪くしないでください。

■そこでこういう褒め方はまたアレなのだけど、竹原ピストルの演技には超脱帽。本来ミュージシャン(確か今だと住友生命のCMソングとか)の方で俳優が本業じゃないんだけど、近づいてきていきなり違和感なく腹に包丁を刺すような距離感で凄すぎ。映画『海炭市叙景』で、正月に妹(谷村美月)を連れて函館山ロープウェイに登り、帰路金がないので妹だけロープウェイで下山させて自分は凍死した兄の役がすごく印象的でした。

■モッくんの演技に違和感ない人はお薦めだと思います。あまり褒めてないように聞こえるけどそんなことないです。

■おまけ。幸夫の愛人役の黒木華は後半はあまり出て来ないし、逆に後半、陽一の家族をサポートするようになる学芸員・鏑木(山田真歩)はこの映画でのルックスがかなり似ているので、両女優に馴染みのない方(それなりにいると思う)は混同してしまうのでは。ちなみに二人とも、吉高由里子主演の朝ドラ『花子とアン』には、それぞれ主人公を敵視する人気作家と、主人公の妹という役で出ていたのは奇遇かな。

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