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ラ・ラ・ランド [映画]

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■2017/2/24鑑賞@TOHOシネマズ川崎。土曜日を待ちきれず公開初日の金曜の夜の回で。今年15本目の洋画12本目。今回、無駄に長くネタバレもあります。

■前作『セッション』で観客を狂気の渦に叩き込んだデイミアン・チャゼル監督の新作がなんとミュージカルだという。これは観ないわけには行かないではないか。舞台は現代のロサンゼルス(「ラ・ラ・ランド」がLAの愛称というのは初めて知った)で、自分の店を持つことを目指すジャズピアニスト・セブ(ライアン・ゴズリング)と、女優を目指してスタジオ内のカフェで働き、オーディションを受け続けているミア(エマ・ストーン)のラブストーリー。

■ライアン・ゴズリングは、現在最も売れている役者の一人であることは間違いがない。一昨年のアカデミー作品賞『バードマン』の中でも、俳優役のエドワード・ノートンが「どうせ俺を下ろしてライアン・ゴズリングでも代役に立てるんだろう」というような台詞があるくらい。本人出てないのに。しかしオレが観たことのあるのは、『ドライヴ』『プレイス・ビヨンド・ザ・パインズ/宿命』くらいで、その中での毒性の高い演技でそういう人だと思っていたので、この配役は結構意外だった。まあこの前週に観た『ナイスガイズ!』ではそうでもなかったけど。

■エマ・ストーンについてもオレは割合不勉強で、『アメイジング・スパイダーマン』シリーズと前述の『バードマン』、ウディ・アレン監督の『マジック・イン・ムーンライト』『教授のおかしな妄想殺人』を観たぐらい。チャーミングではあるが、目がちょっと大きすぎたりとかで正統派美人というよりファニーフェイス系。役柄も結構変な女の子的なものが多いし今作もそうだが、今作ではそれが見事に花開いた。

■オープニングでのロスの高速を貸し切ったダンスシーンの映像から度肝を抜かれてしまった。長回しを多用し、縦横無尽に移動するカメラのアングル、原色系を多用した鮮やかな色彩設計。そして映像にぴったり一致した劇伴。特にオープニングの『Another Day of Sun』なんて涙もの。映像があまりにすごいので、撮影監督はまたルベツキさん(『バードマン』とか)かと思ったら、リヌス・サンドグレンという全く別の方でした。失礼。劇伴のジャスティン・ハーヴィッツはチャゼル監督の大学以来の盟友だとか。サンドグレンは撮影賞、ハーヴィッツは作曲賞を受賞している。至極当然。

■過去のミュージカルの名作への数多いオマージュについては多く語られているが、パンフレットの町山智浩さんの文章にまとめられているので参考にすべし。ただ、この映画の弱点としては(菊地成孔がボロクソ言ったからというわけではないが)脚本が平板でところどころ雑なことだ。ただし他の部分の完成度が非常に高いので、このくらいの方がバランスが取れているとも思う。とは言うものの主演の二人以外のキャラクターの印象は薄い。『セッション』でアカデミー助演男優賞を受賞したJ・K・シモンズなんてチョイ役だし、セブをメジャーに誘う昔のバンド仲間・キース(ジョン・レジェンド)も人気ミュージシャンなのに(すいません、聴いたことありません)、バックダンサーを含めたその他の役の人も含めて印象が弱かった。わざとやってたのかも。

■構成で一番恐れ入ったのは、5年後にセブとミアが再会してからの約5分間のセブの幻想。このラスト5分の、セブだけではなくもしかしたらミアも描いた叶わなかった幸福な未来。このラスト5分のためだけにこの映画は突き進んできたのだ、と思うと涙が止まらなかった。加齢とか言うな。まさに幸せな夢を見させてもらった。

■アカデミー賞授賞式の話。前述した以外にも、エマ・ストーンの主演女優賞、チャゼル監督の監督賞など合計6部門で受賞したが、肝心の作品賞では、間違って受賞と発表される(実際は『ムーンライト』)ハプニングがあった。まあ、過去にも大本命とされた作品が受賞を逃したという例は多い。だが、受賞の発表間違いということによって、忘却の彼方に追いやられたそれらの作品群とは一線を画し、人々の記憶に長く残るであろうこの作品にとっては、とても幸運なことだと思うのだ。

■現時点で今年イチ推しです。ぜひ劇場で。でもここまで書いても、この映画の素晴らしさを全く伝えきれてないので、『Another Day of Sun』主体の予告編をご覧ください。



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