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祈りの幕が下りる時 [映画]

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■2018/01/28鑑賞@109シネマズ川崎。今年6本目の邦画3本目。東野圭吾の小説『新参者』シリーズの完結編。

■東野圭吾作品の映像化にはほとんどハズレはない。代表的なのは『ガリレオ』シリーズだけど。東野さんは原作の設定の改変に関してかなり寛容な方だそうで。作品数が膨大なのでちょっとしか読めてないけど(知人の間では「東野圭吾複数人説」というのもあった)。その中でのこの『新参者』シリーズの完結編。結構面白く、連ドラもスペシャルも全部見た。ただ、映画版1作目の『麒麟の翼〜劇場版・新参者〜』は全然イケてなかった。まずガッキー(新垣結衣)が全然可愛くないっていう点で最悪。監督は土井裕泰さん。ドラマ版には関わってないが、TBSの売れっ子ディレクターのひとり、ということで選ばれたのだろうか。確かにドラマでは『コウノドリ』『逃げ恥』などのヒット作を連発。だけど映画では『涙そうそう』『ハナミズキ』など、首をかしげる作品が多い。どちらかと言うとTVドラマ向きのディレクターさんなんだろうな。

■しかし今作の監督は、ドラマ版も劇場版にも関わっていない福澤克雄さん。そう『半沢直樹』でお馴染みの、今やTBSのエースディレクターだ。福澤さんのヒットドラマは他にもたくさんあるので、気になる人はwikiで検索してみてください。TBSとしては安定の布陣なんだろうが、若干違和感が。後で説明します。

■1983年の仙台から話が始まる。まったくの私事なんだけど、オレはその当時大学生で仙台在住だったのでちょっと前のめり。田島百合子(伊藤蘭)という女がスナックの面接に訪れた。聞けば離婚したばかりだという。店主・康代は百合子を気に入って雇い、百合子もそれに応えて店の売れっ子になる。しかしそれから十数年後、百合子は体調を崩しアパートの一室で孤独のまま亡くなる。

■百合子の身元を知らなかった康代は、百合子が交際していたらしい「綿部」という男に相談する。その後綿部は百合子の親族を康代に知らせる。百合子の息子は「新参者」加賀恭一郎(阿部寛)だった。

■それから時が流れ現在。加賀の従弟の警視庁捜査一課の刑事・松宮(溝端淳平)は、小菅のアパートで発見された女性の腐乱死体の捜査をしていたが、同時期に近くの河川敷で男の焼死体が見つかる。この2つの事件に関連性を感じた松宮は、日本橋署の刑事で従兄の加賀に協力を求める。そこには意外な繋がりがあり、加賀の人生にも大きく関わってくる話だった。

■ネタバレはここまで。さすがにミステリなので結末を明かすわけには行かないけど、積年のシリーズの謎をすべて解き明かしている内容だった。まあ、東野圭吾さんは原作のアレンジに寛容なだけでなく、継続中の作品は登場人物を徐々に映像化作品に寄せてくる、というサービスもやっているので(『ガリレオ』とか)、それの効果もあるかも知れない。オレの加点要素でもあった仙台市内の描写も要点は抑えられてるし。本人もしくはスタッフの取材がきちんとしているんだろうな。

■満足の行く出来だし、少なくとも前作『麒麟の翼』より全然いい。東野圭吾ファンで『新参者』シリーズが好きなら満足するだろう。実際興収もいいようです(遅筆ですいません)。ただ、福澤監督のドラマとかの癖で、「ストーリー上説明が必要なところ」を特に前半部分は、映像でなくテロップで簡略に説明する、というのは映画としてはどうかなと思ったけど。

■これを観た後に、同じく鑑賞後の毎度おなじみB先輩と飲んで話したのだが、大絶賛。特に脚本の構成力が素晴らしいと。そこまで言うのなら、と思って久々に東野圭吾の原作本を読んでみた。脚本は李正美さんというTBSのシナリオコンクール出身の方らしい(大昔オレも応募したけど予選通過止まり)。確かに話の刈り込み方は上手なので、いずれ、現在大ヒット中(オレ的には)のドラマ『アンナチュラル』(オリジナル脚本)の脚本家で、かつては「脚色の女王」と呼ばれていた(オレ的)野木亜紀子さんのように大ブレイクするのかもね。

■でもオレは、この作品が良作なのは、原作小説の構成が精緻なのが一番の理由だと思っちゃうんだよな。ま、おススメです。流れ上書けなかったけど、松嶋菜々子の芝居も良かったですよ。

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