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散歩する侵略者 [映画]

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■2017/9/12鑑賞@109シネマズ川崎。今年77本目の邦画28本目。レイトショーで。

■黒沢清監督の熱烈なファンというわけではないが、気がつくとここ最近の作品は観ている。『岸辺の旅』『クリーピー 偽りの隣人』とかね。観ようと思った動機はそれもあるが、何よりタイトルの『散歩する侵略者』が、『ウルトラセブン』(もしくは『ウルトラQ』)のひとつのエピソードのタイトルのように思えたから。実際に観てもそれを強く感じた。もちろんウルトラセブンなんてまったく出てきませんが。

■行方不明だった夫・真治(松田龍平)が見つかった。記憶を失っているらしい真治は別人のように優しくなっていた。戸惑う妻の鳴海(長澤まさみ)。同時期に一家惨殺事件を追っていた週刊誌記者の桜井(長谷川博己)は、自らを宇宙人と名乗る若者・天野(高杉真宙)に「僕のガイドにになって、あきら(恒松祐里)を一緒に探して欲しい」と頼まれる。一家惨殺事件に関連があるあきらを探していた桜井は、天野が宇宙人ということは信じないまでも行動を共にする。

■ある時鳴海は真治から、「僕は宇宙人で、地球を侵略しに来た」と言われる。

■という訳で、本当にウルトラセブンっぽい侵略者が現れるSFの話なのだが、SF的な映像表現は一切使われていない。「侵略者」は人間の体を乗っ取ることができるので、そのへんは『寄生獣』と同じなんだけど派手派手なVFX表現はゼロ。そして「侵略者」の特殊能力として、人間の心の中から、言葉とか語彙とかではなく、その言葉が持つ全体的な「概念」を盗むことができる。「概念」を盗まれた人はそれを使って物事を考えることが出来なくなってしまう。

■その設定自体がすごく概念的なので、正直あまり分かりやすい映画ではない。が、含蓄のあるとても面白い映画。長澤まさみは本当に芝居が上手くなったし、例によって飄々とした松田龍平はまさに彼の為の当て書きの役のよう。そして、最初から少し胡散臭い役でありながら、途中で正気に戻るのかと思わせつつ、結局最後には暴走してしまう長谷川博己の演技には、昭和4〜50年代の邦画の香りが色濃く残る。まあもともと、長谷川博己がそういうタイプの俳優さんだということもあるけどね。あと、チョイ役も含めて他の俳優さんがやたらに豪華。笹野高史、満島真之介、光石研、前田敦子、東出昌大、そして小泉今日子。キョンキョンなんて最後のほうにちょっと出てくるだけ。

■ネタバレはしませんが、松田龍平が番宣で内容説明を求められて「宇宙人が侵略してきて、あの、最後には愛が勝つという話です」という雑な説明をしていたが、まあその通り。あとはご覧になって確認してください。こちらも強くお薦めです。

■しかし9月に観た映画は、面白いのが多すぎで困る。

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ダンケルク [映画]

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■2017/9/10鑑賞@109シネマズ川崎。今年76本目の洋画49本目。

■クリストファー・ノーラン監督初の実話ベースと言う触れ込み。そりゃそうだ。バットマンは実在しないし、『インターステラー』は宇宙ものだし、『インセプション』のような倒錯した世界が現実にあったらそりゃちょっと困る。でもノーラン監督の作品は大好きなので観ることにするが一つだけ難点が。上映時間の長さ。だいたいの作品が平気で2時間半を超えるのだ。加齢とともに集中力が続かなくなってきたオレにはちと辛い。しかしこの映画、上映時間が106分と、ノーラン監督にしては短い。という訳で安心して観ることにした。合う時間がなかったのでIMAXで。結果的にそれが良かったのだけど。

■第二次世界大戦の前半で、ドイツ軍の猛攻に追い詰められた連合国軍が、フランスの港町・ダンケルクまで逃げ延びて救助船を待つという話が主軸。そしてその話が三つの局面から同時進行で描写される。何としても生き延びたい若き英国軍兵士、トミー(フィオン・ホワイトヘッド)とピーター(トム・グリン=カーニー)たち。母国兵士の危機に義勇船を出す民間人のミスター・ドートン(マーク・ライランス)とその息子たち。そしてドイツ軍の爆撃を阻止すべく飛んだ英国軍パイロット・ファリア(トム・ハーディ)とその仲間。

■同時進行と書いたけど、正確にはギミックを使って各々の時間軸を少しずつずらしている。クライマックスではすべての時間軸が一致するんだけどね。しかしこの映画、作劇というより何だかドキュメンタリーっぽい。主演は若き英国軍兵士なんだけど、オレが不勉強というわけではなくて、ほとんど知名度がない俳優さんたちだ。この手のメジャー映画では珍しいけど、敢えて個々の人物を浮き上がらせない演出に思える。そしてIMAXのおかげでもあるんだけど、恐ろしいほどの臨場感。聞いたところによるとノーラン監督は3Dが嫌いらしい。観客の想像力を制限してしまうから、だそうです。同様の理由でCGも極力避けているんですかね?

■とは言うものの、観終わったあとに印象に強く残ったのは、オスカー俳優、マーク・ライランスの好演と、最後に美味しいところを全部かっさらっていったトム・ハーディであろう。

■映像は飛び出さないし、椅子も振動しないしミストも出ないけど、この映画は体験型アトラクションとして楽しむのが正しいかなと。難しいことを考えないで。IMAX推薦ですが、強くお薦めします。時間短いし(笑)。

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