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ビジランテ [映画]

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■2017/12/10鑑賞@テアトル新宿。今年107本目の邦画41本目。

■本作の入江悠監督は『SR サイタマノラッパー』シリーズ3部作で世に出た人であるが、勢い込んで東京に出てきたものの結局金策に困り実家に戻ったこともあったらしい、という苦労人の監督。しかし近年は『ジョーカー・ゲーム』や2017年公開の『22年目の告白ー私が殺人犯ですー』が大ヒット。一躍人気監督の仲間入りを果たした。だが入江監督の中では『SR サイタマノラッパー』のような独自企画の作品が作りたいという気持ちが強く、2017年初には、テレ東でドラマとして『SR サイタマノラッパー マイクの細道』を手掛けている。『22年目の告白ー私が殺人犯ですー』の公開時に、「次回作で出資が集まらずクラウドファンディングを考えている」というニュースを読んだが、今作公開後の篠田麻里子のインタビューで「2017年の初仕事がこの映画の撮影でした」というコメントがあったので、とっくに解決したかまたは別の作品の話だったようだ。

■舞台は埼玉県の地方都市。実際は入江監督の出身地の深谷市のようだが、仮名が使われている。地元の有力者で市議会議員・神藤武雄(菅田俊)は家族に対しても絶対的な強権者だった。反発を覚えた長男一郎(大森南朋)は父親を刺しそのまま出奔する。同じく反感を抱いていた二郎(鈴木浩介)、三郎(桐谷健太)はそのまま武雄のもとに残る。

■数十年後、武雄が亡くなる。二郎は父の跡を継ぎ市会議員になり、美貌の妻・美希(篠田麻里子)との間に男の子を設けている。三郎はデリヘルの雇われ店長。父の遺産も相続する気もなく、二郎に任せようとしている。そこに突然、行方不明だった一郎が現れ、自らの相続権を主張するが、その土地には市議会の重鎮で利権を狙う岸(嶋田久作)が確保しようとした土地が含まれていた。また、三郎の経営しているデリヘルの上部組織のヤクザたちもその土地を狙っていた。

■すんげえ泥臭い話。もちろん都会だろうが地方だろうがヤクザの方は全国満遍なくいらっしゃるというのは知ってはいるが、東京とこれだけ近い埼玉でもこういう話があるのは、四国の田舎者としては違和感がある。もちろんオレがズレてるだけなんだけどね。

■でも凄い。全体に渡る熱量がもの凄い。「熱量が凄い」と言うと技術はイマイチなのかととらえる向きも残念ながらあるけど、安定した技術があってこそ熱量は伝わるのだ。脚本も入江監督なのだが、敢えて筋を明快にしないで(なぜ一郎が戻ってきたかとか)話の流れを最大に活かす意図があったのかと思う。

■役者陣も凄いなあ。大森南朋の怪演も凄いし、ピタッとハマる鈴木浩介も。クレジット上ではトリプル主演なんだけど、実質の主演は桐谷健太ではないかと。とにかく圧倒的な熱量に参った映画でした。少なくともオレが生きている間には、地方と都市の格差はずっと重要なテーマなので、入江監督にはこのテーマでもずっと撮り続けてほしい。

■おまけ。「篠田麻里子の濡れ場がある」というのがこの映画の鑑賞目的のひとつでした。前半でさくっと出て、全然大したことありませんでした。スケベで大変申し訳ございません。

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DESTINY 鎌倉ものがたり [映画]

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■2017/12/9鑑賞@チネチッタ。今年106本目の邦画40本目。

■原作・西岸良平☓脚本&監督・山崎貴と、大ヒット作『Always 三丁目の夕日』シリーズの(リンクは他にログがないので3作目のもの)タッグ再び、という布陣だが、共同脚本の古沢良太は今回入っていない。そこに若干の不安は感じるが。まあ西岸良平の原作だと酷いものにはならないだろうと思い観ることにした。そう、山崎貴監督は一般的にはヒットメーカーと思われているが(実績には問題なし)、オレにとっては当たりハズレが結構ある監督さんなのだ。

■前述の通り西岸良平の漫画『鎌倉ものがたり』が原作。未読。古都・鎌倉に暮らす売れないミステリ作家・一色正和(堺雅人)のもとに、正和の原稿取りのバイトをしていた、年が離れた娘・亜希子(高畑充希)が嫁いでくる。亜希子は鎌倉の街中に普通に妖怪がいることに驚くが、正和や出版社で正和の担当・本田(堤真一)、ばあやのキン(中村玉緒)、そして正和に妖怪絡みの事件のアドバイザーを依頼している鎌倉書の署長・大仏(國村隼)やその部下の心霊捜査課の稲荷(要潤)などは気にする素振りもない。やがて亜希子も、一色家に住み着く貧乏神(田中泯)と仲良くなったりして環境に馴染んでいく。

■まさか子供がこの映画を観て、「鎌倉には本当に妖怪がいる」とか思ったりはしないよな。ある日身近で変な現象が起きることに気づいた正和は、行きつけの居酒屋の女将(薬師丸ひろ子)から貰った厄除け札を玄関に貼るが、亜希子は家に入れなくなってしまう。亜希子はいつの間にか死に、幽体になっていたのだった。正和に迷惑を掛けたくない亜希子は、死神(安藤サクラ)の指示通り江ノ電から黄泉の国に旅立つ。納得できない正和は、生きたまま江ノ電に乗り込み、黄泉の国に向かい亜希子を取り戻そうとするが。

■お正月映画らしい、と言っていいのか悪いのか。ここでは書ききれないくらい俳優陣が豪華絢爛だし、実写の鎌倉や、黄泉の国のきらびやかな映像とか、観ていて楽しい。まあ鎌倉が舞台の映画・ドラマって基本的に大ハズレがない(『海街diary』とか)のでズルい気もするけど楽しい映画。特に若奥さんの高畑充希も可憐さと言ったら。オレぐらいのオッサンは「あんな可愛い嫁がいたら」と妄想の渦に叩き込まれそう。オレだけじゃないよね?

■江ノ電が活躍するところもあり、鉄道マニアも大喜びで万人にお薦めの映画。気楽に笑ったりハラハラしたり泣いたり、という気分の時にちょうどいいですよ。山崎貴監督作の中ではアタリです。こちらは絶賛上映中。


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