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曇天に笑う [映画]

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■2018/3/21鑑賞@TOHOシネマズ川崎。今年22本目の邦画9本目。

■本広克行の前作『亜人』がかなり面白かったので、若干の期待を持って観に行った。でも実は、『亜人』の方はこの映画より後に撮影されたらしい。昨秋公開なんだけど大人の事情かね。あと、『バクマン。』以来のサカナクション担当の劇伴にも興味があった。

■原作は唐々煙さんの同名漫画。唐々煙さんも全く知らないし当然未読。そりゃ世の中にはオレが知っていることより知らないことの方が断然多いわけで別にいいけど。ただ予告編で、「『るろうに剣心』や『銀魂』と同じ時代に別の男がいた」(大意)ってのは、いくら何でも人のふんどしで相撲取り過ぎだろう感。仮にも日本映画実写歴代興収1位の監督さんだぞ。

■明治時代初期の日本(それで『るろ剣』や『銀魂』の例えが出た訳で)大津。300年に一度よみがえり、人間に災いをもたらすという大蛇(オロチ)が復活する年。曇神社を継ぐ曇家(くもうけ)の長男・曇天火(福士蒼汰)、次男・空丸(中山優馬)、三男・宙太郎の三兄弟は、大蛇を封じるため立ち上がる。明治政府右大臣・岩倉具視(東山紀之)の直属部隊「犲」も、リーダー格の安倍蒼世(古川雄輝)の元で違った方法で大蛇の力を封印しようと動き出す。天火と安倍の間には昔の因縁があった。

■率直な感想をいうと、「この映画、必要?」って感じでした。アニメとかもメディアミックスでヒットしたらしいけど、案の定映画はコケて、公開週でもトップ10に入らなかった惨敗でした。もちろんオレが好きな映画でも公開週にトップ10に入らない映画は山のようにあるけど、それだけではない。主演級3人(上記)の演技がペナペナ過ぎる、っていうか正直言ってヘタクソ。プロデューサーもよくこれで映画が成立すると踏んだもんだ。

■本広克行は大ヒットもハズレもある監督さんだけど、フィルモグラフィ史上最大の失敗作だと思う。これはアカン。

■各俳優さんのファンの方には厳しすぎる感想だと思うので、お詫び申し上げます。

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リメンバー・ミー [映画]

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■2018/3/17鑑賞@チネチッタ。今年21本目の洋画13本目。こちらは日本でも大ヒットしているので、公開から1ヶ月以上経った現在でもバリバリ上映中です。アカデミー賞長編アニメーション賞と、主題歌賞も受賞。

■最近のディズニーアニメは、新作短編も併映する傾向。今作の併映は『アナと雪の女王/家族の思い出』。雪だるまのオラフが主人公なのだが、これがツボにはまって結構良かった。しかし『アナと雪の女王』の熱烈なファンには不満が渦巻いているという話も。なんでだろうなあ。結構心温まる佳品なんだけどね。オレがズレてんのかな。

■本編の話。メキシコには「死者の日」という祭日(?)があり、それは『007/スペクター』での冒頭にも使われていたので知識としてはあった。ま、メキシコには行ったことはないし、おそらく死ぬまで行く機会はないと思うけどね。靴屋に生まれた少年ミゲルは、大の音楽好きだが、曾祖母のママ・イメルダの夫が音楽に取り憑かれ出奔したことで、家庭内で音楽は厳禁とされていた。だがミゲルは自室で、こっそりギターの練習を積んでいた。

■死者の日の当日、ミゲルは街中で開催される音楽コンテストに参加しようとするが、それを見た祖母エレナにギターを壊され、演奏できなくなる。ミゲルは敬愛するメキシコの伝説的ミュージシャン、エルネスト・デラクルスの霊廟に忍び込み、エルネストのギターを手にするが、弾いた瞬間に「死者の国」に飛ばされてしまう。

■生きている人間は朝日が昇ると死者の国から出られなくなる、そのためには死者の国にいる祖先に許しを乞うしかない。デラクルスこそが自分の曽祖父と信じているミゲルは、デラクルス主催のパーティに何とか紛れ込もうとするが。

■死後の世界をテーマとした映画で、何だかとても宗教色が強い。大部分の人が実質的に無宗教である日本では、イマイチインパクトがないかも知れないが、映画は大ヒットしてるのでまあOKかもね。観客の中のかなりの比率に子供がいると思うが、情操教育(何かイヤな言葉だけど)には大いにいいと思う。

■もちろん、映画自体もとても面白いので大丈夫です。しかしこの時点でメキシコを舞台にした映画を造るとは、ディズニーもまあまあトランプ政権にケンカを売ってんのかなとも。日本でも大手製作会社のに見習って欲しいところ。

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ちはやふるー結びー [映画]

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■2018/3/17鑑賞@TOHOシネマズ川崎。今年20本目の邦画8本目。この映画は邦画ではヒットしているので、主な映画館では1日2回くらいはまだ上映しています。すいません遅筆で。

■前2作(『ちはやふる 上の句』『ちはやふる 下の句』)同様、末次由紀さんの同名漫画が原作。広瀬すずがブレイクしたのは『海街diary』であることは疑いようはないんだけど、今の人気の一因が『ちはやふる』シリーズであることも確かだろう。

■映画としては完結編なのだが、原作漫画は収束に向かう傾向はあるにしろ、まだ完結していないので、結末は映画オリジナル。もちろん製作側は末次由紀さんに相談した上での話だと思うけど。

■舞台は前作から2年後で、幼馴染の千早(広瀬すず)や太一(野村周平)、新(新田真剣佑)は高校3年になっていた。新は地元福井の高校でかるた部を作り全国大会を目指すが、一方で太一は受験を名目にかるた部を退部する。

■当たり前の話だけど、原作漫画は千早たちの高校時代を年を追って丁寧に描いているが、映画では高2時代が全省略なので、いろいろ整合性がない部分が出てくる。高1時に全国大会までてたかるた部なのに高2の時は新入部員が集まらず、やっと高3になって、菫(優希美青)と筑波(佐野勇斗)という二人の新入部員が入ってくるところとか違和感ありまくり。

■クライマックスのシーンは確かに盛り上がるし、小泉徳宏監督と主演の広瀬すずにとっては、彼らのキャリアの方向を示したエポックメイキングな作品だったので、真剣に取り組んでいたのはよく分かるけど。

■ただ個人的には、新しいアイディアがあまり感じられなかったのが残念。原作漫画でも人気がある周防名人を賀来賢人にしたことを始め、優希美青、佐野勇斗、清原果耶などの若手キャスティングは完璧に近い。ただ、圧倒的なライバルであった若宮詩暢(松岡茉優)の存在感が今作ではちょっと下がってたりとかね。

■ま、それはオレが前2作を愛しすぎているということでご容赦ください。客観的には現時点でも上映があるということでいい映画だと思います。あとは漫画版の結末を楽しみに待つことにします。あ、でもテーマソング担当ののPerfumeは『無限未来』ではなくて、『FLASH』が神曲過ぎたのでそのままにして欲しかったなあ。『コード・ブルー』のミスチルの主題歌『HANABI』がずっと固定であるように。

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シェイプ・オブ・ウォーター [映画]

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■2018/3/5鑑賞@TOHOシネマズ川崎。今年19本目の洋画12本目。

■月曜だったのだけど、昼のニュースでアカデミー作品賞その他の賞を獲ったというのを知ったのでレイトショーで映画館へ。まあ、そのうち観るつもりではあったけど。たぶん『スリー・ビルボード』が獲るんではないかと思っていたので少し驚いた。

■1962年のアメリカ。極秘機関「航空宇宙研究センター」に夜間の清掃員として働くイライザ(サリー・ホーキンス)は、幼少期のトラウマにより言葉を発することができないが、それでも同僚のゼルダ(オクタヴィア・スペンサー)とは意志の疎通を図りつつ働いていた。ある日、研究所に謎の半魚人のような海の生物が運ばれてきた。イライザと半魚人は、イライザがゆで卵を与えたり、身振り手振りで意思の疎通を図れるようになり、イライザが教えた手話でコミュニケーションが取れるようになり、相互に好意を持ち始めていた。

■半魚人が運ばれて来た際に無礼な対応をした結果、指を失った機関の上層部の軍人・ストリックランド(マイケル・シャノン)はその恨みもあり、半魚人を生体解剖しようとする。期間に連れてきた張本人で、半魚人の生体解剖に反対するホフステトラー博士(マイケル・スタールバーグ)とゼルダの協力を得て、イライザは半魚人を自らのアパートに匿う。そして。

■しかしギレルモ・デル・トロ監督は今までどういう生き方をしてきたら、こんな奇想天外な話を思いつけたのだろうか。腰が抜けた。そして前段のあらすじでは触れていないが、冒頭のシーンで、午後に起床したイライザのルーティンワークは、鍋にお湯を沸かして大量のゆで卵を作っている間に、バスタブにお湯を溜めてその中で自慰行為をすることだ。そこで脱落する人はかなりいるだろう。そして自宅に連れ帰った半魚人とも、セックスらしき行為をした描写もある。うああ。

■SFでありエロであり怪獣映画(半魚人がね)である映画が、アカデミー作品賞を受賞したのはこの作品が初めてらしい。そりゃそうだろう。悪い意味ではないが映画の世界も変わりつつあるなあ、と。そしてデル・トロ監督が『パシフィック・リム アップライジング』を自ら監督することを放棄してこの映画を監督したことの理由もよく分かった。まあそのせいで『アップライジング』はスカスカな映画になっちゃったけどね(遅筆のせいでもう観てます)。

■凄く面白かったのだけど、上記の理由でかなり観る人を選びます。耐性がある人向け。

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15時17分、パリ行き [映画]

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■2018/3/4鑑賞@109シネマズ川崎。今年18本目の洋画11本目。

■イーストウッド監督作品はだいたい年1回のペースでリリースされるが、今年も同じ。そしてほぼアカデミー賞候補に上るのだが、今回はなかった。まあ、観た人はお分かりだとは思うが。「テロ事件を阻止した3人の若者たち」という題材の割に、まあまあ小品の佳作という印象。悪く言っているのではない。しかしイーストウッドもオレの父親と同い年(今年88歳)なのによく毎年映画撮るよな。しかも、前にも書いたと思うが「日程超過なし、予算超過なし」というプロデューサー陣からしたら神様のような監督さんだとか。しかしイーストウッドは、今回恐るべき仕掛けを隠していた。

■話としてはノンフィクション。2015年にアムステルダムからパリ行きの列車で起こったテロ事件を描いている。休暇で乗り合わせた米軍兵のスペンサーとアレク。そして二人の幼馴染ということで旅行に誘われた学生のアンソニー。三人の成長の過程と彼らがそれぞれの道を選ぶまで、そして旅行に出るまではドキュメンタリー調で描かれる。そしてテロ事件に遭遇した三人の対応が妙に生々しい。

■そりゃそうだ。だって主演の三人は事件の当事者、つまり俳優ではない素人さんだもの。以前に例があったかどうかは知らないが、少なくともオレはこんな映画初めて観た。よくその年にしてそんなこと思いつくよなイーストウッド監督。

■「テロ事件は遠いものではなく、すぐ身近に潜んでいるかも」的なテーマのためだと思うんだけど、よくホントにやるよな、感満載。字幕で観たので、英語がネイティブではないオレは三人の台詞がぎこちないかどうかは分からなかった。でも、アカデミー賞の対象にはならないまでも、常に斬新なアイディアで映画を撮り続けるイーストウッド監督に脱帽。ご健在のまま、これからもいい映画を作ってくださることを願います。

■オレが遅筆なのでもう上映館はほぼありません。できればレンタルかパッケージを購入しても見てください。何かほっとします。

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ブラックパンサー [映画]

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■2018/3/4鑑賞@109シネマズ川崎。今年17本目の洋画10本目。

■この映画、MCU(マーベル・シネマティック・ユニバース)の中では、さほど主要な登場人物ではないブラックパンサーを主演に置く、サイドストーリー的な位置づけだったと思う。ところがどっこい、これを書いている時点(4/24)で全米歴代興収第3位で、あの『タイタニック』を抜いたとか。もちろんMCUの中ではぶっちぎりの1位である。主人公並びに登場人物の大部分が黒人で、それが黒人の観客層をすごく動員したのが理由だそうで。なので、黒人在住者がそれほど多くない日本では、普通のヒットに留まった。

■MCUの本筋のストーリー(この場合『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』)ちょこっとだけ登場させて次に主演映画を作るというのは『スパイダーマン ホームカミング』でのスパイダーマンとまったく同じ。しかしスパイダーマンはこの十数年に、2シリーズマーベルによって映画化され認知度も高い。しかし、ブラックパンサーはマーベルのコミックには古くから登場してたらしいが、映画での登場は『シビル・ウォー』が初めて。『シビル・ウォー』を観た時に「この人誰?」と思った人も多いだろう。オレもそうだったし。

■アフリカの内陸にあるワカンダ王国。表向きには発展途上の農業国を装っているが、ダイヤモンド以上の硬度を持ち、かつ強力なエネルギーを秘める希少鉱石・ヴィブラニウムの産地であるがゆえ、実は豊かな超文明国だ。しかし歴代の国王は国の安寧を第一として孤立主義を取り、現在に至るまで白人にも侵略されたことのない国として独立を守っていた。そんな折、『シビル・ウォー』での国際会議でテロが発生し、国王ティ・チャカ(ジョン・カニ)は殺害され、息子である王子ティ・チャラ(チャドウィック・ボーズマン)が国王を襲名することになる。

■そしてティ・チャラは歴代の国王同様、スーパーヒーロー・ブラックパンサーというもうひとつの顔を持つ。まあ、最高権力者がヒーローで問題を解決する『暴れん坊将軍』みたいなもんだ。その上、国王承継問題で、今まで行方が知れなかった従兄弟のウンジャダカ(マイケル・B・ジョーダン)が現れてティ・チャラと激しく争うって、それ『バーフバリ』じゃん! ま、別にどっちが真似したわけでもなく、『キング・アーサー』でもあったように、中世の王国の継承者争いはこんなもんかと。この映画の舞台は現代だけど、王国だしね。

■ここまでにしておきますが、話の展開はダイナミック。かつ映像の展開が派手で、まったく飽きずに観ることができた。MCUのメインストーリーに密接に繋がるものでもないので、もうすぐ公開の『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』のために観ておく必要はないですが、観ておくと味わい深いかも(←マーベルの罠にすっかり落ちている男)。

■最後に、全米で黒人観客の動員が多いことについて。アメリカでの人種差別はニュースで聞くだけでも本当にひどく、よく白人警官が黒人を射殺するというニュースがある。そのためにハリウッドは時折自浄作用を働かせるのが、こういう作品なのかも知れない。もちろん日本ではそんな恐ろしいことはないのだが、「自浄作用」という点ではハリウッドを見習うべき点もあると思う。

■ま、そんな堅苦しいこと考えなくても、十分な娯楽大作なんですけどね。

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The Beguiled ビガイルド 欲望のめざめ [映画]

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■2018/2/24鑑賞@TOHOシネマズ川崎。今年16本目の洋画9本目。

■この映画、クリント・イーストウッド主演の映画『白い肌の異常な夜』のリメイクだそうで。映画を観る時点では知らなかったけどね。1971年の映画なので、邦題がいかにも70年代っぽい。監督はフランシス・コッポラ監督の娘のソフィア・コッポラ。この一家は奥様のエレノア・コッポラ監督の『ボンジュール、アン』も含め、クリエイティブな血筋なのか環境なのか、ですね。生まれ変わったらそういうところで生まれたい。

■1864年、南北戦争の最中。バージニア州にあるマーサ・ファーンズワース女子学園の生徒、エイミ-(ウーナ・ローレンス)は北軍の傷を負った兵士・マクバニー(コリン・ファレル)を連れて寄宿舎に戻る。園長のマーサ(ニコール・キッドマン)、教師のエドウィナ(キルスティン・ダンスト)、アリシア(エル・ファニング)は対応を考えるが、女性の館に若い男が紛れ込んだことで問題が起きる。

■まあ、正直言って変態の話です。まあ面白かったけどね。ネタバレはしませんが、最近ますますエル・ファニングを評価するオレです。この人大女優になるかもね。

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悪女 [映画]

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■2018/2/18鑑賞@109シネマズ川崎。今年15本目の外国映画8本目。

■韓国映画にはあまりアンテナが働かないので、基本的に観る韓国映画は知人のクチコミ頼りである。今作も毎度おなじみB先輩のお薦めで観た。幸いにも知人友人に、映像業界の本職(プロ)の方やシネフィルの方が結構いるので、個々の好みは別にして彼らのクチコミ頼りで映画を選択するとあまりハズレがない。ありがたい事です。もちろん自分が積極的に観たい映画もたくさんあるけどね。

■今作のチョン・ビョンギル監督の作品は初見。そもそも韓国映画を観るのは年にせいぜい2本程度なので当たり前か。でも37歳と若手の監督でかつ、脚本・製作・アクション監修も兼ねているスタントマン出身の監督だそうで。日本でいうと千葉真一くらいしか思い浮かばないオレの知識の狭さ。

■犯罪組織の殺し屋として育てられたスク匕(キム・オクビン)は育ての親ジュンサン(シン・ハギュン)に恋心を抱き結婚することになるが、ジュンサンは対抗組織に殺される。復讐心に燃えたスク匕は、対抗組織に乗り込み、単身で組織を殲滅するところがオープニング。即座に逮捕されるが、国家組織はスク匕を使いがいがあると思い、整形の上プロの暗殺者としての訓練を施す。仕事をこなしているうちに一般人の男性と知り合い恋をしたスク匕は、国家組織に結婚を願い出る。式当日、組織からスク匕に新たな暗殺指令が出る。その対象とは。

■ミステリ要素もあるのであらすじはこの程度にしておくが、とにかく冒頭の殲滅シーンとか、バイク上でのアクションとかが凄くて、この辺は日本映画はまったく追いつけてない。そりゃミスター(鈴井貴之)も韓国に映画留学するわ。ミスターはアクション映画は撮ってないけどね(笑)。ただまあ、韓国映画にありがちな脚本の雑さはこの映画もそうでした。まあまあ無理筋のストーリーが多い。

■この映画ではその雑さがいい方向に効いて、大変面白かった。映画の現場で反韓の人はたぶんそんなにいないとは思うけど、アクション映画の作法とか国の支援体制とか、日本人が学ぶところは多いと思う。

■最後にお願いがあります。組織壊滅に単身乗り込むスク匕(整形前)はショートカットでチャーミング。キム・オクビンとは絶対別人だと思うんですが、公式サイトやネットを探してもその女優さんの名前が出てこない。韓国のサイトを探せばいいのかも知れないが、オレはハングルはまったく読めません。ご存知の方は教えてください。

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リバーズ・エッジ [映画]

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■2018/2/17鑑賞@TOHOシネマズ川崎。今年14本目の邦画7本目。そして(遅筆で申し訳ない)3/10に渋谷HUMAXシネマ(初訪問)で行定勲監督・プロデューサー・二階堂ふみの舞台挨拶があるというのでチケットを申し込んだら当選したので行ってみた。公開時はキャスト・スタッフはベルリン映画祭訪問中なので舞台挨拶がなかったのだ。二階堂ふみの出演舞台は何回か観ているので、生の本人は観たことがあるのだが、ちょっとこの映画には思い入れが強かったので。

■断るまでもなく当ブログは、わたくしの主観的な思いで書いているのですが、今回は特にそれが強いと思います。

■岡崎京子原作・監督行定勲・主演二階堂ふみ・主題歌小沢健二という、オレの中では四翻揃って満貫というスタッフ・キャストなので当然観ます。岡崎京子さんは1963年生まれでオレと同い年。主に90年代に宝島社系の雑誌で漫画を発表し一時代を築いた人。ただ、90年代後半にご主人と一緒に轢き逃げ事故に遭い、以降漫画を描くことは難しくなり実質的な断筆状態。宝島社(旧:JICC出版局)の代表雑誌『宝島』はインテリ雑誌に端を発し、サブカル雑誌→エロ雑誌→右翼雑誌と変遷を重ね現在は休刊中。現在の主力は豪華な付録つき雑誌と、社長は変わってないのにポリシーは超金儲け主義という素晴らしい出版社です。だけど、岡崎京子もそうだし、映画評論家の町山智浩さんとか、サブカル界に人を輩出したという功績は否めないかな、と。

■オザケンが主題歌に選ばれたのは、元気な頃の岡崎京子と交流が深かったから。二階堂ふみもこの映画化の企画は熱望してたみたいだし。世代は違うけど。

■閑話休題。時代設定は映画の中では明確にはされていないが、おそらく1990年代前半。これもおそらくだけど大田区内の都立高に通う女子高生のハルナ(二階堂ふみ)は、同級生の観音崎(上杉柊平)と付き合っていて体の関係もあるが、横暴な観音崎に冷めつつあった。ある時同級生の山田(吉沢亮)が観音崎にいじめられ高校内に閉じ込められているのに気づき、山田を救出する。それに恩義を感じた山田は、「宝物」を紹介すると河原にハルナを連れて行く。そこには白骨死体があった。

■記憶が薄いが原作漫画はたぶん読んだことがあるはず。岡崎京子さんの描線の少なさもあるけど、この話が多摩川が舞台というのにその時はまったく気づかなかった。なんで映画を観て気づいたかと言うと、現在オレは多摩川沿いに住んでいるからだ。対岸の川崎の石油工場からも推察できるように、場所はウチの近所ではなく、もっと河口に近い羽田近辺のはずだ。

■いじめや無軌道なセックスや暴力行為など、今作の話にはまったく救いがない。山田と外面では交際しているが、実はゲイの山田は取り繕っているだけで、いじめから救ってもらったハルナとの仲を誤解し報復行為に出るカンナ(森川葵)の演技は凄まじい。

■クソみたいな話なんだけど、エンドロール間近で主題歌の小沢健二の『アルペジオ (きっと魔法のトンネルの先)』が流れはじめた途端、すべてを許す祝祭の場に変わった。楽曲に参加している二階堂ふみと吉沢亮の「ポエトリー・リーディング」的な台詞がとても良かった。

■上映館は少ないし、率直に言うとヒットではない映画なんだけど、オレはとても好きです。公開後結構経ってるので、女性の知人からも批判的な意見は聞いたけど。

■おまけ。二階堂ふみはこの映画で初めてフルヌードになっているけど、今までセミヌードを見せた映画を含め一番エロくなかった。そういう演出方針だったんだろう。決して「無駄脱ぎ」ではない。

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グレイテスト・ショーマン [映画]

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■2018/2/17鑑賞@TOHOシネマズ川崎。今年13本目の洋画7本目。まあ、これを書いている時点で2ヶ月前ですね。スマン。でも現時点でもぎりぎり上映されているほどのヒット作なのだ。アメリカも同様。ただ、アカデミー賞には主題歌賞で『THIS IS ME』でノミネートされただけで、後はほぼガン無視。マイケル・グレイシー監督が新人さんだからかな? 分からないけど。

■実在した興行師、P・T・バーナム(ヒュー・ジャックマン)の伝記的映画。貧しく育ったバーナムは良家の令嬢チャリティ(ミシェル・ウィリアムズ)と幼い頃に知り合い、やがて結ばれる。その後も勤めた会社が倒産するなど、苦難にあうバーナムだったが、半ば詐欺的な手法を使って銀行の融資を受け「バーナム博物館」を作り独立する。しかし客足は厳しかった。

■娘のアドバイスで興行師になることを決意したバーナムは、世間的には奇形の人と言われる人間を集め、「フリーク・ショー」のサーカスを始め、それが大ヒット。腕利きの興行師として知られるようになるが、世間的には成り上がりと思われ、裕福な義理の両親の対応も冷たかった。

■現在でもアメリカでそういう興行が行われているかどうかは知らないが、今の倫理観で言うとまあまあアウトかも。もっとも、ちょっと前の日本、というかオレが子供のころの日本でも女子プロレスの巡業との抱き合わせで、「小人プロレス」という興行があったのだ。途中どこかからクレームが入ったのか、「ミゼットプロレス」という名称に変わったが。要は生まれつき小柄な人同士がプロレスをするという興行である。調べてみたら、そもそも女子プロレスの興行が昔と比べて少なくなったことと、人材難で現在は開店休業中に近いとか。

■閑話休題。映画はバーナムの成功と挫折、そして復活を描く物語なんだけど、分かりやすいストーリーといちいちツボに効果的な楽曲が配されるのでとても楽しかった。やはりヒュー・ジャックマンとミュージカルの親和性がすごく高い、ということは『レ・ミゼラブル』をご覧になった方は「何を今さら!」と怒ると思うが、やはりそうなんです。楽曲も素晴らしいし。

■まだギリギリやっているので、間に合う方は是非観てもらいたいが、宣伝にひとつ不満が。「『ラ・ラ・ランド』のスタッフが贈る〜」という宣伝文句を見聞きした人は多いと思うけど、当たり前だが製作も演出も『ラ・ラ・ランド』とはまったくダブらないし、関係あるのは劇伴だけで、確かに今作の主題歌『THIS IS ME』を担当したベンジ・パセック&ジャスティン・ポールは、昨年のアカデミー歌曲賞の『City of Stars』など、劇中の楽曲に関わっているが、すべて作詞においてのみで、昨年アカデミー作曲賞を受賞したジャスティン・ハービッツ(デイミアン・チャゼル監督の盟友)がほぼすべての作曲に関わっている。なので「『ラ・ラ・ランド』のスタッフが贈る〜」という宣伝文句は誇大広告に取れなくもない。

■まあ、アメリカでどういう宣伝だったかは存じ上げませんが。映画そのものはお薦めです。

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