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草競馬流浪記 [エッセイなど]

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■山口瞳氏のエッセイ。文庫版が出たのが1987年なので、もう25年前の本になる。なんで今更この本をというと、本棚で見つけて再読してると面白くなり、結局全部再読してしまったのです。90年代に入りわたくしが地方競馬遠征ツアーを始めた、最大の動機になった本。

■本によるとこの企画は編集者サイドの持ち込みらしいんだけど、山口さんが受けた理由が、地方競馬がインチメイト(親密)な雰囲気であることと、この本が書かれた80年代半ばの時点で既に地方競馬衰退の兆しが見えていて、何とかそれを止める助けになりたかった、んだとか。

■競馬をやらない人には保証できないけど、少なくとも競馬をやる人にはこの本はかなり面白いはずだ。地方競馬は北海道から九州まで(まあそれは中央競馬もそうなんだけど)展開してるし、びっくりするような田舎にもあるので紀行文にもなってる。

■主に90年代に、私はこの本をガイドにして地方競馬巡りに出かけていた。まさにインチメイトというか、地方競馬場は「田舎の縁日」みたいな感じがしてたまらなく楽しい。そしてその地元の宿に泊まる楽しさとか。

■でも中途半端な集中ぐあいだったので、未だに行けてない競馬場は結構あるし、なにより行かないうちに廃止になってしまった競馬場がかなりある。そして行ったけど既にない競馬場とか(北関東3場、上山、三条とかね)。時の移ろいを痛感する。

■そして、この作品が書かれた時期はバブル前夜であったにも関わらず、すでに地方競馬の衰退は始まっていたのだ。そしてその10年以上あとの小泉政権の自由化政策によって、現在に至る地方都市の衰退に拍車がかかることになる。

■すべての人に勧められる訳じゃないけど、競馬好きな人は地方競馬ツアーも結構楽しいと思います。現状、まだいくつか競馬場は残ってるし。知らない馬ばかりだけどパドックを見てれば的中率は多少上がるはず。特に競馬好きの人には是非読んで欲しいのだけど、現在文庫版は絶版だし、オンデマンドだと3000円以上する。現実図書館しかないんだよな。

■おまけ。文庫版の解説は故森田芳光監督です。これも微笑ましい。

■追記(2013/10)。改めて読むと山口先生は飛行機がお嫌いだったようで、北海道への移動以外は全部鉄道。執筆当時は青函トンネルが開通してなくて(どんだけ昔だよ)、他に移動手段がなかったせいだとは思うけど。それにしてもいわゆるブルートレインの乗車記が結構多い。その大部分は現在廃止になっており、東北・北海道方面への寝台はまだあるが、東京発西日本方面は現状「サンライズ出雲・瀬戸」のみ。最近サンライズ出雲に乗って、「乗り鉄」であることを再確認したわたくしですが、なんかもったいないよな。寝台列車の旅、お勧めです。


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