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この世界の片隅に [映画]

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■2016/11/12鑑賞@109シネマズ川崎。今年123本目の邦画62本目。

■こうの史代さんの同名漫画が原作のアニメーション映画。主演の声優がのん(能年玲奈)ということで話題になった。事前のパブリシティがあまり多くなかったことに関して、契約でモメていたらしい能年の旧事務所が圧力を掛けたのではないか?という話もネットニュースで上がっていたが、配給元は決してメジャーではない東京テアトルで上映館は初週63館。メジャーな配給元と比べると当然宣伝力は劣るので普通の結果かとは思う。ただ、雑誌や新聞と比べ、芸能事務所が圧力を掛けやすい民放での露出は少なかったような気もするけどね。

■戦前の広島で生まれ育った少女・すず(のん)は、小学校時代に何となく好意を寄せていた哲はいたが、先方の男・周作がすずを見染めた、という理由で隣の軍港都市・呉市に嫁ぐ。ちょっとぼんやりしているすずはいくつか失敗を繰り返しつつ、義母や義父、出戻りの義姉と姪とも関係を構築していくが、太平洋戦争の状況は悪化し呉にも空襲が頻繁に来て、そして昭和20年8月、隣市の広島に原爆が落ちる。

■この映画の支援者の方は結構いて、「決して暗い気持ちで終わる映画ではない」という方もいるけど、半分正解で半分間違い。広島に原爆が落ちて、その前にすずは呉への空襲のあとの不発弾で自分の右手と姪を失くすのだ。重くない訳はないよね。

■強烈に反戦を主張した映画ではない。むしろ戦時中にすずを始めとする市井のひとびとの、平穏でありながら懸命な日常を表現した映画です。こういうタイプの映画には初めて出会ったかも。そのぶん起承転結を強調した映画ではないので、物足りない人もいるかなとは思います。

■ちなみにわたくしの出身地は、平成の大合併以降は呉市と隣接する愛媛県今治市(っても海をまたいでだけど)なのですが、映画を観て知らなかったことをたくさん発見した。映画の中ですずが遊郭街に迷い込むシーンがあるのだけど、呉市にそんなものがあったとは。あとで調べると戦時中は呉市の人口は40万を突破していたこともあったらしい。軍港都市だし、それなりの遊郭街があってもおかしくなかったかなと。

■そして、伊予弁とは似て非なる広島弁ですが、兵庫出身の能年玲奈の広島弁はほぼ完璧だったと思う。彼女のイントネーションと、瀬戸内海を挟む対岸として見える風景は、明らかに現代に地続きで繋がっているように思えた。

■製作者の目的がそうでないので、安易に涙を流すことに誘導する映画では多分ないのだけど、可能な人は観て欲しい。全国63館という小規模な公開で、初週の興収10位とは快挙と言っていいだろう。そのぶん満員続出で、オレは初日にナメてて昼前に川崎に行ったが、その時点で空きがあるのが最終上映回だけだった。なのでネット予約をお勧めします。

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