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この胸に深々と突き刺さる矢を抜け [小説]

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■白石一文の小説。直木賞受賞の「ほかならぬ人へ」より以前に書かれた小説。ワタクシ的には「ほかならぬ人へ」以来になる。最新刊の「翼」とかももう出てるのに。まあ主な理由は最近ワタクシはビンボーであって、なかなかハードカバーには手を出せなかったり。吉田修一「平成猿蟹合戦図」は買ったけど(いま読書中)、それと比べてどうのというのではなく、単にこの小説は上下巻なので2冊というだけの理由で文庫版まで待ってた。ビンボーってヤダ。

■タイトルが強烈なのでずっと重い重い小説なのかと思っていた。今までの白石小説の主人公はなんというか基本露悪的で、社会的に恵まれた地位にいながら(いたことがあったのに)、セックス中毒的だったり心を病んで退職してたりとかのパターンの人が多かった。この小説の主人公も有名出版社の看板雑誌の編集長で元がん患者、幼い子供を亡くした経験があってセックスには半ば中毒、という白石作品の主人公オンパレードみたいな人物。

■だから、うーんいつもと似た感じかなあと思って読んでたのだが、何か違う。文体のまとまりが時々なく散文みたいな調子になるし、時々は経済学者のフリードマンの言説をネガティブに引用したりして、現在社会の経済的不平等感を訴えたりとか。連載じゃなくて書き下ろしだからある程度の目標を持って書かれたはずだと思うが。勿論この作品は東北大震災以前に書かれたものだ。しかしどこか共通点がある。

■言葉の足りないワタクシとしては恥ずかしい限りだけど、この時代の小説で明確に言い切れるものは無意味で、混沌を含んだ現状を白石氏は提示したかったのではないか。新作読んでないんでアレだけど、ワタクシ的には現時点で白石一文の最高傑作かと。超お勧め。


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