SSブログ

横道世之介 [映画]

yy400225.jpg

■2/24鑑賞@TOHOシネマズ川崎。今年11本目の邦画6本目。

■吉田修一によるこの原作小説が大好きで、個人的には吉田作品の中でナンバーワンと思っている。ブログ(リンク貼ってます)にも書いたくらいで、2009年の刊行時から、これ映画にならないかな、とずっと思っていた。映画化の情報が公開されたのは昨年で、それ以来ずっと公開日を楽しみに待ち前売り券も買ってあった。でも実際行ったのは公開翌日だがw

■沖田修一監督の映画はこれが初見。堺雅人主演の「南極料理人」の監督さんというのは知ってるが、そういう意味ではクリーンな状態で臨む。160分という上映時間は少し長いかも知れぬ、という不安も伴いつつ。主演の高良健吾の映画は「ノルウェイの森」しか観たことないけど、イケメンの割になんかハマるような気はしていた。ヒロインの吉高由里子は、原作小説の中のヒロイン「与謝野祥子」に対してあまりイメージがピンと来ない。てな感じで観たのだが。

■しかしそれは杞憂だった。高良健吾のハマり方も勿論のこと(よくここまでダサくできたもんだ)、浮世離れしたお嬢様、与謝野祥子に吉高由里子がまさにドンピシャ。脇もいいんだよな。池松壮亮に、今ゲイの役をやらせたらナンバーワンの売れっ子綾野剛(ファンの方すいません)。まあ祥子の母が堀内敬子(まだ40過ぎだぜ?)なのはちょいとご愛嬌だけど、世之介の両親(きたろう&余貴美子)もはまってて、ちょい役なのに井浦新とか。これはまさにキャスティングの勝利だろう。

■映画自体(原作がそうなのだが)、1987年に上京してきた大学1年生、世之介の一年間の話であり、基本的にドラマチックな展開はない。話の流れからは予想もつかないエンティングが用意されてはいるのだが、それはネタバレになるので止めておく。それで160分は長いと思うかも知れないが、全然長くないっていうか、むしろもっとこの世界に浸っていたいと思った。冒頭の1987年の新宿東口アルタ前。でかい看板には斉藤由貴「AXIA」のポスター(もちろんCG)。我々アラフィフ世代にはなんとも懐かしい情景がずっと続いていく。喫茶店のBGMは岡村靖幸「Check out Love」だったり(この選曲がまさに80年代後半っぽい)、みんなシャツの裾をパンツに入れてたりね。すごく居心地のいい映画なのだ。なんか麻薬っていうか。戦時中だったら戦意喪失でたぶん上映禁止かもね。撮影の近藤龍人さんって「桐島、部活やめるってよ」と同じ人だそうで、なんか納得。

■描写がすごく丁寧でオススメの映画ではあるんだけど、ふと思うがそれって我々アラフィフ世代だけなのかも。世之介は原作者の吉田修一と同じ設定(長崎出身、87年法政大入学。サンバサークルに入ってたかどうかは知らん)で、わたくしは若干年嵩だけど86年に就職のため上京してきたのでシンクロ感がすごくある。もしかしたら、我々アラフィフ世代にとっての「Always三丁目の夕日」みたいな映画なのかも知れない。まあ正直、20代の人が同じように面白がれるかどうかについては自信がない。しかし80年代ってこうやって客観的に見ると、すごくダサい時代だったし、今から思えば服装とか風俗とか岡村ちゃん含めて、すべて夢のような時代だった。でも、すごく愛おしい時代。

■話の構成的には原作に忠実で、タイムシャッフルが使われててとっつきにくいところがあるので、できれば原作を読んでから観るのがいいとは思う。ただ、映画の後に原作を読んで納得するのもよし。ともかく、この物語の作り出す世界観が大好きである。

nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(1) 

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

Facebook コメント

トラックバック 1

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。