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ちりとてちん [ドラマ]

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■NHKの連続テレビ小説で、2007年10月1日〜2008年3月29日の放送。つまり6年前のドラマの話です。何でそんな昔のドラマを今更という話もあるかと思いますが、オレが作品に接したのが2013年秋の再放送以降だということです。まあ、たまに書く昔のドラマ・映画の話ということでお付き合いください(ちりとて風)。

■見たことのない方には分かってもらえないと思うのであらすじを長くならない程度に若干。もともと小浜(福井県)の若狭塗箸職人の和田正太郎(米倉斉加年)の息子として育った正典(松重豊:『孤独のグルメ』のファンの方は笑わないように)が、妻の糸子(和久井映見)と娘の喜代美(貫地谷しほり)と息子の正平(橋本淳)を連れて家業を継ぐべく帰省してくる。

■やばい。あらすじが長くなりそう。正太郎が正典を後継者として明言する前に正太郎は亡くなる。そして喜代美は、転入先の小学校で同姓同名の和田清海(佐藤めぐみ)に遭遇し、容姿も性格も優っている清海と比べて「B子」(清海は「A子」)と呼ばれるようになり、それが喜代美のコンプレックスにつながることになる。

■そして祖母(江波杏子)が三味線の師匠をしてるのに、高校の文化祭で自分が舞台に出ることを自ら断った喜代美は、推薦で決まっていた地元の短大を辞退し単身で大阪に出てくる。いやすげえ展開だな。小浜と大阪はそんなに遠くはないのだけど。

■偶然で寄宿先になった(当時は)もと落語家、徒然亭草若(渡瀬恒彦)と、内弟子で居候を続けている草々(青木崇高)との出会いで、喜代美(落語家で襲名してからの名前は若狭)の人生は大きく変わっていく。

■まあとっくの昔に本放送が終わったドラマなので、今更ネタバレに気をつけても仕方がないことだとは思いますが。このドラマは大阪放送局制作で、当時の最低視聴率を記録したドラマということらしいけど、なんでこんなに面白いドラマがそういう結果になったのか。今考えると少し分かる。このドラマは「落語」「塗箸」という古典芸能の継承が大きなテーマのひとつなんだけど、話の流れ(と演出)がすごくサブカルっぽくて、ちょっと当時の朝ドラの視聴者にはついていけなかったのかもと。

■以降、このドラマについて書く上で避けては通れない、とオレが勝手に思っているクドカン脚本のドラマ『タイガー&ドラゴン』(2005年)『あまちゃん』(2013年)について触れる。特に『あまちゃん』については「後出しジャンケン」と思われないよう留意するつもり。

■落語を題材にし、なおかつストーリーの展開上それぞれの落語が話のキーとなり、かつドラマの登場人物が劇中劇で落語の中の登場人物を演じるような話は、メジャーなドラマとしては『タイガー&ドラゴン』が初めてではなかったかと思う。ただ浅学なので、間違っていたらご教示ください。

■発表年が後なので、このドラマが『タイガー&ドラゴン』の影響を受けてなかったとは考えにくい。ただ、『タイガー&ドラゴン』では話の組み立てのひとつとして落語を扱っていたように見えた点と違い、『ちりとてちん』は落語に対する愛着が強く感じられたように思えた。実際、『タイガー&ドラゴン』ではレギュラーの現役落語家は笑福亭鶴瓶と春風亭昇太のみだが、『ちりとてちん』では徒然亭草原役の桂吉弥を始めとして、不定期の登場ながら現役落語家さんの登場が多かった。まあどちらも、落語人口を増やしたという点では視聴率以上に貢献したのではないか。どちらの作品も視聴率的には大したことなかったのであるが。

■このドラマでの役者さんたちの演技も素晴らしい。貫地谷しほりは言うまでもないが、渡瀬恒彦、そして、出番としては割合最初のほうで死んでしまう米倉斉加年がすごくドラマを締めている。和久井映見、江波杏子もそう。そして若狭の兄弟子たち(桂吉弥、青木崇高、茂山宗彦、加藤虎ノ介)がすごくいい。桂吉弥と茂山宗彦は本業が違うので別として、青木崇高と加藤虎ノ介はその後ドラマでの存在感を沢山出せるようになったと思う。それ以外も素晴らしい役者さんばかり。

■『あまちゃん』との絡み。『ちりとてちん』は大阪放送局制作だけど、『あまちゃん』は東京放送局制作。でもスタッフには共通点があり、『あまちゃん』のチーフDの井上剛は『ちりとてちん』のDのひとりだし、同じく『あまちゃん』のPの菓子浩も今作のDのひとり。人的なつながりという理由だけではないけど、類似点が多々ある。ヒロインが当初ダメダメなところ(まあ、喜代美は成長したけどアキは成長してないか:笑)や、クライマックスで手作りの舞台がメインステージになるところ(「ひぐらし亭」と「海女カフェ」)。リアル芸能人の五木ひろしと橋幸夫の登場。そしてひぐらし亭建設の折に糸子が喜代美に送ってきた大漁旗!・・・アキが上京するのを見送る夏ばっぱが振ったのも大漁旗。ここまで繋がると偶然とは思えないよね。

■いいドラマでした。正直、照れ屋のクドカンは泣かすのが下手なので『あまちゃん』以上に泣いたかも知れない(加齢の話はするな)。ただ再放送だったので、当たり前だが話のオチが分かっていてドキドキできなかったのが残念。まあ、オレが6年遅かっただけですよね。

■なお、若干『あまちゃん』褒めに寄ってるかもしれませんが、収録当時ほぼ同世代(20歳前後)だった貫地谷しほりと能年玲奈について、当時の演技力では貫地谷ちゃんが頭2つぐらい上だということは断固として言っておこう。

■NHKの制作陣、素晴らしいドラマを有難うございました。んで朝ドラは卒業するつもりでしたが、この枠の後の『カーネーション』の再放送は未見で、一部友人から「絶対見ろ!」と言われてるので見るかもね。

■しかし最終回で渡辺直美が出たのは(ノンクレジットだけど絶対そう)、「底抜けに」たまげました(笑)。と思ったら、知人の方の話では、方言指導の先生で別人なんだとか。それにしても似てる。

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