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舞妓はレディ [映画]

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『るろうに剣心 伝説の最期編』と同じく2014/9/13鑑賞@TOHOシネマズ川崎。今年45本目の邦画25本目。明らかに邦画寄りでございます。

■周防正行監督の映画はほぼ映画館で観てる。ただ、最近の2作『それでもボクはやってない』と『終の信託』は少し期待はずれだった。ま、正確にはその間に草刈民代のバレエ・ドキュメント『ダンシング・チャップリン』はあるんだけど、公開館も少なかったのでそれは観ていない。

■タイトルで分かる通り、この映画はオードリー・ヘップバーン主演のミュージカル映画『マイ・フェア・レディ』のパクリ、もといオマージュの映画。訛りのキツい少女を言語学者が補正して檜舞台に立たせるというところは同じだけど、それ以外は京都を舞台にしたまったく別のお話。

■舞妓もの、と言えば、近年では宮藤官九郎脚本・阿部サダヲ主演の爆笑映画『舞妓Haaaan!!!』が記憶に残るところだけど、この映画はそれとは真逆のアプローチ。『舞妓Haaaan!!!』はオレも観て大爆笑したし好きな映画のひとつなんだけど、後半脚本が脱線してほぼ舞妓と関係ない話になっていく。十分面白いんだけど。

■この映画は脚本的には奇をてらったところはほとんどなく、鹿児島弁と津軽弁のバイリンガルな少女、春子(上白石萌音)が舞妓を志し、京都の下八軒(架空)のお茶屋の女将・千春(富司純子)に入門して一人前の舞妓になっていくという話。そこを知り合いの言語学者・京野(長谷川博己:彼の勤めてる大学が京大学というのに爆笑)が訛りを治す手助けをするということになる。

■てっきり現地で大々的なロケを行ったのかと思いきや、撮影の大部分は川口市に造られたオープンセットで行われたそうで。まあ、営業してるんだからロケでそんなに邪魔できないよね。

■とにかく主演の上白石萌音がいい。芝居も上手いし歌って踊れるし。ほぼ新人の女優さんで『江』とかにも出てたそうだけどまったく気づかなかった。演出の力だろうが、登場時は、なんか裏山で掘ってきた山芋みたいな垢抜けない子(すいませんすいません)だったのが、徐々にキレイになって所作も洒脱になっていくというのは凄い。どうも順撮りじゃなかったらしいしすごく苦労したのではないかな。周防監督もたぶん役者に対してスパルタな人だと思う。

■他の役者も、ピンポイントの出演も含めて豪華キャスト。長谷川博己はイケメンだけどマニアックという、最近良く当てられる役をこなしてるし、富司純子に至ってはまったく隙すら見つけられない。竹中直人や岸部一徳はまあいつもだけど。ワンシーンのみの出演なのだけど、舞妓時代の千春(大原櫻子)と映画スター(妻夫木聡)が良かったな。上白石萌音の若いボーカルと比べ、大原櫻子は声が太いというか安定感がある。

■そう、この映画本家同様ミュージカル仕立てなのです。富司純子や芸奴役の田畑智子、その他たくさんの人に歌わせるという無茶振り(でも小日向文世は歌ってない:笑)。でも役者の皆さんが頑張ってるのがよく分かる。かつファンタジーです。この映画の中で悪役はほぼ出てこないし。強いて言うなら高嶋兄だけど、まあご愛嬌の範囲。いろんなジャンルの映画があってしかるべきだけど、こういう夢を見させてくれる映画も一定比率必要かなと思う。

■強力にお勧めだし、オレもあと1回以上は映画館で観ると思います。昔の周防監督映画のような爆笑の連続はないけど、じわじわ来てほっこりします。周防監督自身は、社会派の映画とかをもっと撮りたいんだろうけどね。オレも含めたファンが周防監督に期待するのはだいたい娯楽作品だ。需要と供給のミスマッチって怖いな。

■ただね。ミュージカル映画の割には劇伴がちと弱かった。劇伴の周防義和さんは監督の従兄で、長年コンビを組んでるけど、今回に限っては別の劇伴担当を起用したほうが良かったのでは。『Shall we ダンス?』のテーマ曲は、っていう向きもあるだろうけど、あれオリジナルじゃなくてカバーですから。メインテーマの『舞妓はレディ』は文句なくいいのだけど、オープニングとクライマックス、エンドロールで3回も聴かせる(別アレンジだけど)のはどうかなと。

■オレを含めて95%くらいの日本人は一生お茶屋遊びをすることはないと思う。でも観終わったあと、旅に行って、お茶屋遊びはできないまでも花街(今回知ったけど、「かがい」「はなまち」という両方の読み方があるみたい)の石畳を歩いてみたいな、と思った。

■2014/9/23追記。2回目を観てきた。オレが馬鹿なせいだとは思うけど、一度観ただけでは分からない細かい伏線に改めて気付き、やっぱりいい作品だなと思った。しかし、昨日(9/22)のスマスマでせっかく鈴木亮平×園子温で番宣をしたのに、主要な映画館での上映はすでに終わっている『TOKYO TRIBE』もそうだし、本作も公開2週目なのに上映回が減ってた。以下は憶測だけど、どちらの作品もミュージカル仕立てにしたのは、2012年に大ヒットした『レ・ミゼラブル』の影響なのではないか。『舞妓はレディ』はヒットだと思うけど、日本人にはミュージカル映画って受けないのかな、とか思ったり。


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