二重生活 [映画]
■2016/7/2鑑賞@109シネマズ川崎。今年79本目の邦画38本目。
■門脇麦の単独初主演作。まあ、門脇マニアでもあるのも観た理由のひとつだが、原作が小池真理子というのも『無伴奏』に続いて。ベテランで多作で映像化作品も多い方だが、今年二本連続で映画が公開されているというのは、もしかしたら流行ってるのか。どちらもあまり公開館は多くはないが。
■しかしメインキャストが門脇麦の他、長谷川博己、菅田将暉、リリー・フランキーと最近のこの手の映画の常連さんばかりであまり新鮮味はない。新人が出てくる芽はあまりないのかなとも。監督は初見の岸義幸さん。商業映画は初めてだそうだけど、紐解いてみると311後の女川を描いた、一色伸幸さん脚本の傑作ドラマ『ラジオ』の演出だったり、新井浩文がホストのBSフジの旅番組『美しき酒呑みたち』のメインPだったりする。しかもテレビマンユニオンの役員だったりして、同じくテレビマンユニオン出身でドキュメンタリー畑だった是枝裕和監督と似た匂いもあるかも。
■哲学専攻の大学院生・珠(門脇麦)はゲームデザイナーの卓也(菅田将暉)と同棲しているが、修士論文のテーマに悩んでいた。そこに担当教授の篠原(リリー・フランキー)から、接触のない他人の「哲学的尾行」を提案される。無理と思っていた珠は、偶然近隣に住む出版社の編集者・石坂(長谷川博己)の動向に興味を持つうちに、尾行にのめり込んでゆく。
■30年以上前の話で恐縮だけど、オレも文学部だったのだが、当時は哲学専攻で卒論・修論でフィールドワークをテーマにしていた学生はほぼいなかったような。もっとフィールドに接するべきだった社会学専攻のオレですら、過去の学者の論文の解釈という非常に安易な道に逃げてしまった。だってめんどくさかったんだもん。すいませんすいません。なのでちとリアリティに欠けるところはあるけど、現在ではそんなことないのかもね。
■閑話休題。珠の尾行は石坂の周辺に知られることになり、それによって石坂の置かれる環境にも影響が出る。最後は珠と石坂は直接対峙することになるが。
■ミステリなので以降は毎度のごとく書けませんが、前半は珠の尾行がバレるかバレないかというところでヒヤヒヤするし、ストーリーの牽引力はある。そしてR15+なので門脇様の濡れ場もまたある訳です。正体が掴みづらい女優さんということで門脇麦は多用されていると思うのだけど、ちと濡れ場専門的な扱いが多いのは気になります。先頃の『お迎えデス。』というドラマではかなりチャーミングだったし、実は朝ドラ『まれ』にも出てたし。ポテンシャルの高い女優さんなので大事に育てていただきたいと願う次第です。
■結末はやや消化不良だった。が、本筋には関係ないが、篠原(リリーさん)に依頼されて役割としての妻を演じていた西田尚美がすごく良かった。『ナヴィの恋』以来、魅了してくれる女優さんです。あと、現在超売出し中(『真田丸』にも出てる!)の岸井ゆきのが、珠と同じ大学院生で出てたところも見どころ。この人は事務所が強烈プッシュするようなタイプでもなさそうなので、単純に実力が評価されているのかなと。今後に注目。
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