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「グラスホッパー」 [小説]

■伊坂幸太郎。最近はまってるのは言うまでもない。

■これも2004年の作品なのだが、読んだのはつい最近。不覚。伊坂作品にしては珍しく時間軸のトリックがないし仙台が舞台でもない。が、人が沢山死ぬのである。伊坂なりのハードボイルド(出来が悪いという意味ではまったくない)。

■じつは数年前に友人のみひさんに指摘されていたのだが、彼ほど当たり外れのない作家はそういない。改めて自覚。おそらく彼の現時点での最高傑作であろう「ゴールデンスランバー」を読んだ後にこの作品を読んでも全く色あせてない。凄いの一言。

■ま、現時点で今回の直木賞は受賞作が発表されているが、伊坂幸太郎は「ゴールデンスランバー」でのノミネートを辞退したのでもちろん受賞してない。理由には諸説がある。「選考対象にされると作品の執筆に集中できない」(これは本人談)、あと「受賞作だ」ということで本が売れることには抵抗がある(これは本人談と言われているだけで裏付けはなし)とか。

■何でだろうね。以下全部推測。いい加減ノミネーションだけされて騒がれるのが嫌になったとか。「賞」で本を買う人に抵抗があったとか。もしくは本人が「直木賞」というカテゴライズ(=大衆文学)に括られるのが嫌だったのか。本心は分からない。

■しかし言いたいな。そんな低いレベルでぐだぐだしてないで取れるものはとっとと取っちまえよ。少なくとも「ゴールデンスランバー」にはそれだけの価値がある小説だ。一旦賞を取ってしまえば、それこそ、受賞第1作とかは騒がれるかも知らんけど、そのあとは実力勝負だ。で、「直木賞」を取ったから、と言ってあなたの小説を手に取ってみた人間も、かなりの部分があなたの小説にはまるはずだ。

■最初の小説のカテゴライズはあまり関係ない。どういう作家になれるかは、その人の意志と方向性ではないかな。

■少なくとも伊坂さんが商業的な成功を第一義としていないことはみんなに伝わったと思うので、次はどーんと直木賞に向かってって貰ってもいいんじゃないかな。
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