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東京湾景 [小説]

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■吉田修一の2003年の小説。別にこの後も延々吉田修一の小説の感想を続けるわけではない。最近単に読みなおしただけ。

■正直に言うと、吉田修一という作家に触れたのはこの小説が初めてで、しかも動機はこれがドラマの原作であったというお粗末な話。一般的には本は読んでいる方だと思うが、所詮アンテナのカバレッジが乏しかっただけのことでお恥ずかしい限り。

■ヒロイン美緒はお台場の石油会社の広報部に勤めるOLで、関係を持つことになる亮介は船積会社の現場労働者。二人は携帯の出会いサイトで知り合い「身体だけに溺れる」付き合いを続けていく。結末も必ずしもハッピーエンドになるとは取れない。

■最初に読んだのがこの小説で、同じ作者の「悪人」はあとで読んだのだが、「悪人」の習作という形に受け取れなくもない。共通点が多い。「出会いサイト」がキーだったり、満たされない気持ちを抱えながら愛欲に落ちて行ったりとか。で曖昧な主題をもっと明確にさせるために吉田修一はより強烈な「悪人」を書いたのではないかと。個人的な感想だけど。

■特定の作家の作品を連続して読んでいくと、抱えるテーマやアイテムのバリエーションは意外と多くないと言うことに気づく。吉田修一しかり伊坂幸太郎しかり。極論を言えば夏目漱石だって。それが悪いと言ってる訳ではない。興味があるテーマやアイテムでしか人はディテールを描けないのではないだろうか。もちろん例外はあるだろうけど。

■私がこの小説を読むきっかけになったドラマだけど、似て非なるものというか換骨奪胎。ドラマではヒロインが在日韓国人でその血統に悩むとかそのへんの韓流テイストの作りが沢山あるが、原作には在日韓国人、という人たちは全く出てこない。ストーリーの改変もひどいし。

■ということを今のタイミング(2011/8)で書くと、このドラマの放送局:フジテレビに対する韓流びいきとかそれに対するデモの便乗にされそうなんだけど、全くそんな意図はない。まず自分がフジテレビがどうしたいのかっていう真意を全然分かってないし、かつそんな無駄なデモをやるなら東電とかに行けよとか思ってるので。

■個人的に責めたいのはこのドラマのプロデューサー(兼脚本)、です。あまりにも愚か過ぎる。

■ドラマのDVDをレンタルする必要は全くないけど、「悪人」を読んで面白かった方は、「東京湾景」も併せて読むと絶対面白いと思う。

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