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レッドゾーン [小説]

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■真山仁の小説。「ハゲタカ」シリーズ三作目。

■別に最近読んだ訳じゃなく、ちょうど一年前くらいに文庫化されたのを機に読んだ。一作目も二作目も読んでたし、大森南朋主演のNHKのドラマシリーズにはいたく感服したというのもある。ただね、映画に関しては監督がドラマと同じ大友啓史さんで、まさにこの作品が原作だったのにイマイチ。ま、映画の出来に関して云々は本エントリの目的ではない。ちょっと直近に読み返したので書いとこうかなと。

■ネタバレしない程度で書くけど、主なストーリーは純国産の自動車メーカー「アカマ自動車」に中国資本が買収をかけてきて、その攻防で「ハゲタカ」こと鷲津政彦がキーになってくるという話。元新聞記者の著者らしく膨大な取材量で話にリアリティを与えようと試みてるのだけど、特にM&A用語なんて、門外漢のわたくしには「ゴールデン・パラシュート」とか「クラウン・ジュエル」とか、ホンマにあるんかいな?という用語。個人的には「経済小説界の落合信彦」とわたくし勝手に名付けてるくらい真偽の程が一般読者には怪しい。

■誤解を与えないように書く。貶してるんじゃなくて褒めてるんです。真山さんは恐らく全て承知の上で書かれてるのではないか。単なる事実の積み上げの延長での小説だと、読者に今現在世の中で起こってることを明示できない、という意思でやってる気がする。そして今シリーズ通して真山さんに感じられるのは「日本の製造業に対する愛」であり、主人公の鷲津にも少なからず投影されている。インタビューとか対談を読むと、真山さんは鷲津を「いい人」に置き過ぎるのに抵抗があるようだが(笑)、これは手塚治虫のブラック・ジャックに対する感情に似ているのかな?

■あと、小説の中の舞台の「アカマ自動車」は、現社長は違うものの、「同族企業」の血脈が濃いという設定。私事だけど、わたくしも新卒で入った電機メーカーは同族企業だった。その会社は一時の経営危機を通して、現在見た目は現在同族企業じゃないように見えるけど、どっこい創業者の孫が未だに上席常務なんですねえ。しかも特に何もしてないっぽい。持株関係とかのせいなんだろうけどちょっとね。関係者の方、すいませんこのエントリシカトしてください。

■現在は「週刊ダイヤモンド」で続編「ハゲタカ4」連載中とか。さすがに毎週「ダイヤモンド」をそのためには買わないけど、単行本もしくは文庫本化されたら必ず読みますので。楽しみです。前作を含めての過去の作品の論調では、現在の壊滅的な日本の製造業を、どう救えるのかの指針がまったく見えないというのもある。そういう意味で超期待。でも凄く楽しみにしてます。


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