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東京家族 [映画]

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■今年7本目で邦画5本目。1/27鑑賞@TOHOシネマズ川崎。言わずと知れた小津安二郎監督「東京物語」のリメイク。オマージュという向きもあるが、登場人物は大部分同じ名前であり、またプロットの大部分が引用されているということもあり、リメイクと捉えるのが正しいだろう。

■映画青年などでは全くなく、現在遅れてきた映画中年状態であるわたくしは特に旧作の知識が欠落しており、「東京物語」も映画館で観たことはなくTVで見たことがある程度で、記憶も朧げで大変心許ない。なので事前にhuluで見直した。記憶はだいたい間違ってなかったが、改めて厳しい(当時の)現実を描いた映画だなと思った。「東京物語」の感想は本エントリの目的ではないのでこの程度に。

■そして困ったことに山田洋次監督についても不勉強なわたくしなのであった。さすがに映画館で寅さんは観たことはあるが、昔邦画のロードショーは二本立てが主流だった時代に併映で何本か観た程度。「武士の一分」「おとうと」も観ていない。以下、その辺差し引いて読んで頂けるとありがたい。

■舞台が昭和20年代から現代に変わったことと、「東京物語」では戦死していた原節子の夫が、「家族」では妻夫木聡演じる次男になっていて、その恋人が蒼井優(≒原節子)というところが主な変更点か。あと、老夫婦の故郷が「物語」では尾道だったのが、「家族」では(劇中で島名は明確になってないが)瀬戸内海ー広島県の大崎上島になっている(余談だがわたくしの故郷の愛媛県今治市に隣接している)。これは憶測だけど、シャッター街になってしまった尾道市街ではなかなか映画にしづらかったのではないだろうか。

■以下、是々非々で感想を述べる。人物や風景(東京・瀬戸内海)を丁寧に描くというところに最大限の努力を払っている。家の造りがやや古く昭和風にも思えるが、それは敢えてそうしているのだろう。橋爪功・吉行和子の演技も凄くいい。二人は設定のせいで瀬戸内海弁を喋るのだが、今治市出身のわたくしとしてはこれがなんとも懐かしいのだ。西村雅彦・夏川結衣・中嶋朋子もいいし、妻夫木聡と蒼井優は清新だ。と言ってもこの二人もそろそろベテランになってきてはいるが。

■ただやはり、この映画は「東京物語」抜きでの単独の映画としては残念ながら成立していない。もちろん性格上、それぞれのシーンを比較してしまうのは仕方ないにせよ。印象的な最初の老夫婦の上京シーンなど、「東京物語」にもあるシーンは穏やかなテンポで進んでいくのだが、リメイクとして作られた新機軸のシーンは急に登場人物の喋りのテンポが早くなってしまったり、演出の緩急というより統一感に欠けているという印象が。

■この映画の本来のクランクインの予定は2011年4月だったそうだが、東日本大震災を受け1年延期されたそうだ。その結果、東日本大震災を想起させるエピソードが本作の中にもいくつか入っているが(妻夫木と蒼井の出会いが東北でのボランティアだったとか)、正直取ってつけた感は否めない。

■とは言うものの、ひとつの舞台が瀬戸内海だったり、自分がこの映画の子どもたちの世代だったりとか、そして山田洋次監督がウチの親と同世代とか、どうにも気にしてしまう映画ではある。オマージュということで肩の力を抜いて観ればいい訳だし。ただ、事前に「東京物語」を観ておくことを強くお勧めする。その方が楽しめるはず。ヒットはしてると思うが、客層はやはり年配の方(=たぶん東京物語鑑賞済み)が多かったし。

■小津安二郎監督へのオマージュで作られた映画は数多くあるが、その中では竹中直人監督、中山美穂主演の「東京日和」がお勧めです。話の内容は違うけどテンポとかがしっくりくる。

■忘れてました。林家こぶ平もとい正蔵の演技が残念、というか正蔵が憎い。


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