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この空の花ー長岡花火物語 [映画]

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■8/23鑑賞@目黒シネマ。今年40本目の邦画21本目。

■この映画の大林宣彦監督は、我々世代の邦画好きとしては生ける伝説のような人。尾道三部作や『青春デンデケデケデケ』などなど、好きな映画が多い。実は近作は結構ご無沙汰だったのだけれど、この映画と『野のなななのか』と直近の2作を観れるということと、あと大林監督のトークショーまであるということで、これは行かねばなるまいと思い目黒シネマを訪問。

■目黒シネマというのはなかなか素敵な名画座で、今年(2014年)の春にやった『ヒミズ』『地獄でなぜ悪い』の園子温監督作二本立て+園監督トークショーも素晴らしかったのだが、今回は特に二本合わせて5時間30分超という長編なので、名画座二本立てだと上映を一サイクルロスすることになる。キネカ大森のようにロードショー上映も兼ねているのならまだしも、明らかに通常と比べ減収となる企画を実現したスタッフの蛮勇には頭が下がる。今お気に入りの名画座はこことキネカ大森。ま、ウチから行きやすいという要素も多分にあるけどね。

■大林監督のトークショーの感想は、この映画に関わるところについては時折引用しますが、まとめは『野のなななのか』の末尾に書きますのでご了承ください。

■舞台は2011年7月の新潟県長岡市。天草(熊本県)の地方紙記者玲子(松雪泰子)は、ずっと昔に別れた恋人で長岡の高校教師片山(高嶋政宏)からの手紙をきっかけに長岡に赴く。同時に片山のもとに、教え子の女子高生元木花(猪俣南)が演劇の脚本を持ち込み、8月頭の長岡花火大会と同時期に、戦時中の長岡市への空襲を題材とした高校生による演劇をやることになる。

■この映画、あらすじはここまでにしておくが、あらすじを辿ること自体あまり意味がない。そもそも作りがセミドキュメンタリーとも言うべきもので、実際映像の中にはモデルになった人物も登場している。いかに長岡市が戦時中の空襲で物凄い被災を被ったかということと、近年の中越地震でまた街を破壊され、復興のシンボルとして長岡花火大会を強い意思を持って継続しているかということ。

■元々の大林監督の構想はそこまでだったようだ。ところがクランクイン直前に東日本大震災が起こった。トークショーで話されていたが、山田洋次監督の『東京家族』がそれを受けてクランクインを1年延ばしたのに対し、大林監督は山田監督に「いや、この映画は今年クランクインしなければいけないんです」と電話で話されたそうだ。で、事前の構想と脚本を大幅に変更して、2012年の公開に至る。

■以下少し、私感だけど厳しいことを書く。長岡の花火大会は名前では知ってはいたけど肉眼では観たことがなく、また戦災や中越地震の復興の願いが込められていたことはまったく知らなかった。そして長岡への模擬原子爆弾の投下も。原爆が投下された広島・長崎だけでなく、全国のいたるところで殺戮と言っていい空襲が行われていた(オレの故郷の愛媛県も)ので、各地のことまで知る由もなかったというのが本音。それで話をまとめたほうがいいと個人的には思ったのだが、前述のとおり東日本大震災に遭遇したので、311と反原発の話まで入れてしまっている。結果、いろいろ盛り込み過ぎて散漫とも取れる印象の映画になってしまったと思っている。

■セミドキュメンタリーなので史実にあった話で情報量が多すぎて、登場人物が早口でたくさんのセリフを喋り、かつテロップが過剰という饒舌過ぎる映画なのだ。長岡市が出資しているということもあってきれいな風景は数多く撮られているけど、肝心の花火がCG混じりが多く、あまり美しいという印象を受けなかった。演劇のシーンもCG合成が多くて、しかも舞台では主役であるべき花がどうも魅力的には感じられなかった。なんか目が死んでるのだ。一輪車に乗ってるというのも不可解だし。

■いっその事ドキュメンタリーとして撮ったほうが良かったのではと。玲子と片山のくだりはフィクションなんだけど、あまりに薄っぺらすぎて映画全体の価値を毀損するという印象を受けたし。まあ、正直言ってこの役者二人はもともと評価してない。

■生者と死者が入り混じる(リトルネタバレ)、大林監督ならではのファンタジーだし好きな方も多いだろう。オレの好みの問題なのでそれはもちろん否定しない。でもなあ、もう少しやりようがあったのではと思うのです。以下『野のなななのか』に続く(笑)。

■あ、でも長岡花火大会には一度行ってみたいと思った。

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