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バンクーバーの朝日 [映画]

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■2014/12/21鑑賞@TOHOシネマズ川崎。今年71本目の邦画37本目。

■史実をベースにした話です。第二次大戦前に、バンクーバーで日本人の野球チーム「朝日軍」が活躍したというのは、以前どこかの民放のドキュメンタリーで見た記憶があるので知っていた。強烈なレイシズムに耐えつつ、「朝日軍」がカナダの野球リーグで勝ち上がって行く姿は確かに感動的ではある。

■それもこの映画を観た動機のひとつなんだけど、一番大きい理由は、今作の石井裕也監督の前々作『舟を編む』を最近huluで見たのだけどこれがえらい面白かったのだ。まあ、昨年の日本アカデミー賞作品賞その他を獲っている映画だから当たり前と言えばそうだけど。『舟を編む』については、いずれ別のエントリで書きます。

■大雑把なあらすじは先に書いてしまったのだが、主人公の妻夫木聡を始めとしたチームの主なメンバーは、亀梨和也、勝地涼、池松壮亮、上地雄輔などなど。女優陣は妻夫木の妹役の高畑充希に、宮崎あおい、貫地谷しほり、本上まなみなど、若手のオールスターキャストと言ってもいいかも知れない。そこに佐藤浩市や、他のベテランキャストがきっちりと重しになっている。

■ゲームのシーンはドラマチックだけど、それ以外の日常場面は淡々と進む。バンクーバーの日本人街の映像もいいけど、さすがにこれはロケできないよな、現存しないしと思ったら、やはり大部分は茨城の巨大なオープンセットで撮影したそうだ。映像がいいな、と思ったら、エンドロールで今作の撮影監督も近藤龍人さんと気づいた。とある飲み会で、吉田大八監督の新作『紙の月』でも吉田監督は『桐島、部活やめるってよ』で組んだ近藤さんと組みたがったそうだけど、先約で断られたという話を聞いた。先約ってこの映画だったのか!

■パワーで勝るカナダ人チームに対して、バントと盗塁という機動力を使った野球で挑んでいくというのが話のひとつの肝なのだけど、今ではダルビッシュ(ハーフだけどね)やマー君のようなパワーピッチャーがメジャーで通用しているところを見ると隔世の感がある。でもまあ、そのへんの比較はこの映画ではあまり意味がない。当時の朝日軍の面々が、いかにインサイドワークに秀でていたかという話。

■淡々とした描写が効果的でいい映画だと思う。この手の映画でありがちな、ラブロマンスをねじ込むという要素がゼロだったところは素晴らしい。ただその分、豪華女優陣にも関わらず、高畑充希と母親役の石田えり以外の女優さんがほぼチョイ役だったというのが残念。そのへん、もう少し何とかして欲しかった。勿体無い。高畑充希はすごく良かったんだけど。

■いい映画だと思うが、「日本人ってすげえ!」というのとは何か違う気が。宣伝がそういう風にリードしているので仕方ないところもあるけど、この映画の中で凄いのは日本人全体ではなく朝日軍のメンバーとその周辺の人々だけだと思うよ、正直言って。どんな時代にも残念ながら絶対なくならないレイシズムやヘイトスピーチについて、粛々と考える機会を与えてくれる映画なのかな。

■ネトウヨのみなさん、くれぐれも勘違いしないように。

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non_0101

こんにちは。
高畑充希さんの台詞に泣かされました~
必死に頑張っても戦争という時代の流れにつぶされてしまう状況が哀しかったです。
この作品をお正月映画に持ってくるのも深いなあと思ってしまいました☆
by non_0101 (2015-01-11 13:27) 

sochi

non_0101さん、どうもです。
この映画の撮影監督の近藤龍人さんは、『そこのみにて光輝く』の撮影監督でもあります。「そこのみ」も是非。
by sochi (2015-01-12 01:06) 

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