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風の歌を聴け [映画]

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■1981年公開の映画。原作は1979年出版の村上春樹のデビュー作の同名小説。何でこの映画を今頃っていう話ですが、初見です。キネカ大森で大森一樹監督の、今作と『ヒポクラテスたち』の旧作映画二本立て、かつ土曜日の夜には大森監督のトークライブ付きという夢のような企画だったので。2015/10/03鑑賞@キネカ大森。今年68本目の邦画35本目。トークライブの感想については『ヒポクラテスたち』のエントリに書きます。

■まず村上春樹の話から。ここ10年ほど、10月になると「ノーベル文学賞受賞なるか?」と必ずマスメディアの話題に上がってくるハルキさんだけど、オレの高校時分のデビュー作(今作)から読んでいた。現在の日本の小説家で一番ベストセラーを書ける人、という評価は疑いのないところだと思う。でもその割に映画化された作品は少ない。今作と『パン屋襲撃』『パン屋再襲撃』『トニー滝谷』などと、村上春樹最大のヒット作『ノルウェイの森』。観たことあるのは『ノルウェイの森』だけ。ブログにログもないので簡潔に書くと、主演のワタナベは松山ケンイチ。ヒロインの直子は菊地凛子、でもう一人のヒロイン緑は水原希子。映画にはイマイチ乗れなかったし、菊地凛子には魅力を感じなかった。水原希子は結構良かったけど、オレは勝手に原作の「緑」からもっと母性のあるふくよかな女の子をイメージしてたので、そのへんはちょっとズレてたかな。60年代終わりの風景を(実感はもちろんないけど)活写してたと思う。2010年時点でリアルロケで印象を損なわなかった早稲田大学もある意味凄いが。ただ、やたらに登場人物が早足な印象があった。もちろん1970年前後の日本人学生が早足だったということはないだろうし、ベトナム系フランス人のトラン・アン・ユン監督のイメージがそうだったのかも知れない。

■本編になかなか辿りつけません。大学生の「僕」(小林薫)が神戸(小説では特定されていないけど)に帰省した時に、行きつけの「ジェイズ・バー」(マスター:坂田明)で知り合った鼠(巻上公一)や、酔いつぶれて寝ていた女(真行寺君枝)と知り合うひと夏の物語。大雑把に言えばそう。

■今作と次作『1973年のピンボール』までは、村上春樹の小説に強いストーリー性はないし、映画もそれを反映している。村上春樹の作家性が顔を出してくるのはその次の作品『羊をめぐる冒険』からだ。情景描写も良くも悪くも記号的なので、この話の実際の背景の「1970年前後の神戸」を小説から想起するのはかなり難しかった。でもこの映画は、当たり前なんだけど当時の情景を描写していて、それを45年後に見せられるオレとしてはかなりなチグハグ感を感じたのは事実だ。なので、村上春樹の映画化作品が少ないという理由が何となく分かった。

■でも面白かったんだよね。小林薫が起用された理由って、おそらくデビュー当時の村上春樹のスチールにイメージが凄く似てたからじゃないかな。何となく庄司薫の小説『赤頭巾ちゃん気をつけて』が映画化された際の主演が岡田裕介(現東映会長)だったのが、庄司薫のスチールに顔が似ているというのをどっかで読んだ気があるような。あと、ヒロインの真行寺君枝が時代背景を感じさせないくらいいい女なのだ。この後アイドル映画をたくさん撮ることになる大森監督には、先見の明があったということか。その他、室井滋が脱いでます(余計情報)。

■ただ予算的には厳しかったらしいというのが、映像の各所から伺える。前作の『ヒポクラテスたち』で大森監督はブレイクしたそうなので、順序は逆じゃないかと錯覚したくらい。wikiによると、主題歌のビーチ・ボーイズ『カリフォルニア・ガールズ』の著作権料が制作費を圧迫したらしいと書かれてるが、ホンマかいな。

■それにしても次作が、吉川晃司『すかんぴんウォーク』というのが、ちと信じられません。


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