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匕ポクラテスたち [映画]

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『風の歌を聴け』と同日、2015/10/03鑑賞@キネカ大森。今年69本目の邦画36本目。

■一般的には大森一樹監督の出世作と言われているらしい。洛北大学医学部の学生たちの群像劇。映画館で観たことはないが、昔アパートの14型テレビで見たような気はしていたのだけど、後半のストーリー展開とかはまったく覚えていないので、もしかしたら記憶違いかも知れない。多分に医学生でありながら映画を撮っていた大森監督自身の経験が反映されているようだ。あまり関係ないが、医者か歯医者、または医・歯学部出身もしくは中退者の(大雑把な括りとしての)アーティストは結構いらっしゃるようだ。大森監督はもちろんのこと、手塚治虫(医学博士。臨床経験はないらしい)、サエキけんぞう(歯科医)、伊藤銀次(医学部中退)、北山修(精神科医)などなど。作家では北杜夫(精神科医)、最近では海堂尊(外科医)とか。これは偏差値の高さというだけでは片付けられない数だ。医者という職業は何らかの創作意欲を誘発するのだろうか。そのへんは良く分かりません。

■主人公の荻野愛作(古尾谷雅人)を中心とする6年生の進路の悩みや、診療実習(でいいのかな)の日常と、愛作が住んでいる寮の先輩たち(当然留年生)と後輩の生活、学生運動への関わりなどが描かれる。愛作の恋人順子の妊娠問題なども。時折軽妙だけどシリアスだったり、学生運動のくだりがあるのは時代背景か。この映画の舞台は70年代の終り頃で、すでに学生運動自体はかなり低調になっていたと思うけど確かにあった。オレが大学に入学した80年代前半でも、講義の前に革マル派の学生が教室になだれ込んできたことがあったぐらいで。まあ田舎の大学だし、実際に友人で学生運動に参加していた奴はいなかったけどね。

■キャストが凄い。主演の古尾谷雅人(残念ながら故人)以外にも、柄本明、今や名バイプレイヤーの内藤剛志、齊藤洋介や阿藤快、小倉一郎など。医学生の紅一点、伊藤蘭なんて、キャンディーズ解散で芸能界を引退した後の最初の復帰作がこれ。その他にもピンポイントやカメオに近いけど、原田芳雄、鈴木清順、なんと手塚治虫先生まで。観てびっくり。ただみどり(伊藤蘭)の悲しい結末とかは全然覚えてなかったので、やはり初見かも知れない。その後日本映画やドラマで散見される大学生のモラトリアム期間の青春群像劇、のひな型になったのではないかと思う。そういえばフジで『輝く季節の中で』って似た設定のドラマがあったな。この映画、DVDも出てるので、興味を持たれた方はどうぞ。

■上映後大森監督のトークイベント。MCは元大森組の助監督で緒方明監督(作品未見です、すいません)と、ゲストは今作にも出ている齊藤洋介さん。大森監督といえばオレの青春時代の邦画のスター監督で、『恋する女たち』などの斉藤由貴三部作や吉川晃司の三部作、群像劇の『大失恋。』などなど、好きな作品は枚挙にいとまがない。なので楽しみにしていた。

■まあ内容自体は映画論を熱く語るというよりは、舞台裏の茶飲み話的なものがほとんどだったのだけど、それはそれで楽しかった。伊藤蘭が絶頂期のアイドルから今作のオファーを受けた理由は「たぶんその頃は、まだ映画が高く見られてたんでしょうな」とか。大学教授役で出ている手塚治虫がベレー帽を取って地頭のままで出演したエピソードは、「先生、さすがに現場で教授がベレー帽被ってちゃおかしいでしょう」でこうなったとか。現存する画像で手塚治虫先生が地頭を晒しているのはこの映画だけらしい。確かに(笑)。

■30年以上経っているので、現役第一線の俳優さんもいれば、消えていった方もいるし、鬼籍に入られた方もたくさんいる。そういうことを感じつつ少ししみじみとしながら観た。

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