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羊の木 [映画]

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■一ヶ月ぶりのエントリ。2018/2/03鑑賞@TOHOシネマズ川崎。今年7本目の邦画4本目。間が空いたのは痛風になって右足が痛かったりとか(不摂生以外の何物でもない)、たびたび帰省してたとかまあ色々理由があるのだけど、人生最大の病である「めんどくさい病」のせいということにしておこう。ともかく遅筆で申し訳ございません。現時点での上映館はほぼゼロなので、パッケージを待っていただくしかないかと。

■吉田大八監督の商業デビュー作『腑抜けども、悲しみの愛を見せろ』をU先輩に薦められて以来、吉田監督の映画は、タイミングが合わなかった『クヒオ大佐』を除き(その後配信で見た)、ほぼ劇場で観ている。『桐島、部活やめるってよ』が低調なスタートからクチコミで興収が増えていき、結果日本アカデミー賞の最優秀作品賞&最優秀監督賞その他を受賞したのを知っている人は多いだろう。主演の神木隆之介はすでに知名度はあったものの、橋本愛、東出昌大、松岡茉優、山本美月、太賀など若手スターを輩出した映画でもある。

■『腑抜けども』『桐島』など、吉田監督の映画は地方を舞台にしたものが大部分で、地方出身者のオレとしてはそこも好きなところなのだが、今作も魚深市という架空の地方都市(モデルは富山県魚津市)が舞台。原作漫画は、作:山上たつひこ&画:いがらしみきおという、1970〜80年代を席巻したギャグ漫画の大御所。山上さんは近年は漫画より小説や原作にシフトされているらしい。好きな漫画家さん二人なのに未読。いずれ読みます。

■魚深市役所の職員・月末(錦戸亮)は上司からの命令で、他からの移住希望者の迎えと住居・職業のアテンドをすることになる。やって来たのは宮腰(松田龍平)、杉山(北村一輝)、理江子(優香)、大野(田中泯)、清美(市川実日子)、福元(水澤紳吾)の6人。「魚が美味しい。人がいい」と平板な言葉しか並べられない月末。実はこの6人は全員元死刑囚で、一定期間在住すれば仮釈放を早めるという政府の極秘プロジェクトに、人口減で苦しんでいた魚深市が乗ったという話だった。

■現実的にはありえない漫画の話ですが、オレみたいに、実家が人口十数万の地方都市の出身者にはリアリティがすごくある。映像描写の中にも、魚津市が将来性あふれる町という描写はまったくなく、生活に疲れ切った人ばかり。オレの場合、地元に残って頑張っている友人たちは素晴らしいとは思うんだけど、そう見えてしまうのは現実。

■大部分の元死刑囚は人生をやり直そうと努力している。月末は、以前思いを寄せていた昔の同級生で帰郷した文(木村文乃)と、地元在住の同級生・須藤(松尾諭)と、時折バンド活動の真似事をしているのだが、そこに宮腰が参加したいと言ってくる。受け入れた月末たち。その後宮腰と文は交際するようになるが、周辺で殺人事件が起きる。実は宮腰はサイコパスだった。

■半ばネタバレで大変申し訳ございません。しかし、とても面白い映画で、近年の吉田監督の作品では一番の出来だと思います。最後までネタバレさせないミステリと(なのにネタバレしてしまってすいません)地方都市の圧倒的な閉塞感を見事に表現している。

■役者としては松田龍平の人を食ったサイコパスの怪演と、3人の女優陣がそれぞれの色を出していてとてもいい。主演の錦戸はなんか狂言回し的な役だったんだけど、伝え聞いたところによると吉田監督は絶賛だそうで。

■現時点では、ほぼレンタルを待つしかなくて申し訳ございません。でもお薦め。今年のオレ的邦画ベストテンには入ると思います。

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