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亜人 [映画]

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■2017/10/1鑑賞@109シネマズ川崎。今年84本目の邦画31本目。

■結構前のことなので忘れている方も多いと思うが、邦画実写の歴代興収第1位は『踊る大捜査線 THE MOVIE 2 レインボーブリッジを封鎖せよ!』なのです。興収は173.5億円。昨年大ヒットした『シン・ゴジラ』が82.5億円なので、どれだけすごい数字かは分かっていただけるかと。もちろん競合や時代背景もあるので一概には言えませんが。『踊る』は確か公開直後に映画館に行った記憶があるのだけど、終了後観客がみんな拍手をしていてビックリした。映画を観に行ってそんな体験をしたのは現在のところその一回だけです。そしてその映画の監督が今作の本広克行監督。

■前フリが長すぎました。原作は現在も連載中の桜井画門の同名漫画。未読。すでに劇場版でアニメ版が3部作として上映されているがこちらも未見。なので事前情報ほとんどなし。

■妹・慧理子(浜辺美波)の難病を治したいと、医者を目指した研修医の永井圭(佐藤健)は、交通事故でトラックにはねられ即死するが、即時に復活したので「亜人」と認定され厚労省の保護下に置かれる。「亜人」とは十数年前に発見された死なない人間のことであり、日本では圭が3人目に確認されていた。だが保護とは名目で、残虐な人体実験を繰り返され限りない苦痛を体験させられてきた。

■厚労省管轄下の「亜人研究所」に束縛されている圭のところに、亜人の一人目・佐藤(綾野剛)と二人目・田中(城田優)が圭の奪還に現れる。亜人研究所の担当者・戸崎(玉山鉄二)と対峙しつつ脱出は成功に思われるが、人間を残虐に殺す佐藤の態度に圭は違和感を持ち、最後に佐藤と対峙して独自に逃げ出す。

■佐藤の要求はエスカレートして、「亜人の自治区を区内に作れ。でなければ細菌テロを起こす」と政府に宣告する。逃亡していた圭は、対峙するべきだと思い戸崎に協力を申し入れる。

■だいぶあらすじを書き過ぎた感じで大変申し訳ございません。でも、とても面白いです。尺も長くないし(109分。またかよ)、身体能力がともに高い佐藤健と綾野剛のアクションには何も文句を付けるところはありません。その他にも、慧理子役の浜辺美波はもっと売れて欲しいし、戸崎のボディガード役で実は亜人の下村(川栄李奈)のダークスーツに白ワイシャツ、というのは、『SP』での真木よう子の役割を引き継いでるのかなと思って笑った。

■あえて難癖を付けるとしたら、綾野剛の台詞回しがとても芝居がかってた所かな。原作もアニメも観てないので何とも言えないが。あそこが調和を壊してた気がする。綾野剛ってそんな下手な俳優じゃないもの。

■確かにB先輩に指摘されたように、「リセット」は『オール・ユー・ニード・イズ・キル』に似てるし、亜人が追い詰められると黒い霧(IBM。またか:笑)を出すのは『ジョジョの奇妙な冒険 ダイヤモンドは砕けない 第一章』はあるんだけど、これはこれとしてすごく面白い。

■本広克行監督は大ファンというわけでもないが、『幕が上がる』とかは好きでした。またもっと活躍して欲しいです。

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ドリーム [映画]

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■2017/9/30鑑賞@TOHOシネマズ川崎。今年83本目の洋画53本目。

■最初に言っとくと、この映画はアメリカでの上映中『ラ・ラ・ランド』を上回る興収を叩き出したとの事です。それで初週の上映館が63館って、配給(20世紀FOX)と映画館、馬鹿じゃないですか? メジャーから色々イジられた『この世界の片隅に』と同じ63館。その後の大ヒットは皆様ご記憶の事とは思うけど、同じレベルで週末の興収は第7位ですよ。『この世界の片隅に』は10位だったし、同時期に上映の作品の質の差があるので単純には比較できないとは思うけど、何で? 今からでも上映館を拡大すべき。

■米ソ冷戦下の1961年。NASAのラングレー研究所に勤める3人のワーキングマザーの黒人女性。リーダー格のドロシー(オクタヴィア・スペンサー)のもと、数学の天才のキャサリン(タラジ・P・ヘンソン)、エンジニア志向のメアリー(ジャネール・モネイ)は、黒人女性だけの部署「西計算センター」で働いている。ある時数学の天才が欲しいという宇宙特別研究本部長・ハリソン(ケビン・コスナー)の意向で、キャサリンはそこに配属になる。が、他のスタッフは全員白人で、その棟には黒人用のトイレがないためキャサリンは大変苦労する。

■ドロシーは実質管理職の仕事をしているにも関わらず、昇進を申請しても、上司のミッチェル(キルスティン・ダンスト)には「前例がない」と拒否される。メアリーはエンジニア職への転換を目指すが、そこでも黒人ということで制限され、夫にも反対される。ある時ドロシーはIBM製の巨大コンピュータがNASAに導入されると知り、手計算の自分たちの仕事はいずれ無くなると思い、コンピュータ/プログラミングの勉強を密かに始めるが。

■主演女優さん3人についてはあまり馴染みがなくて申し訳ございません(後で確認したら、ジャネール・モネイは今年のアカデミー作品賞の『ムーンライト』にも出てました。記憶力の無さを呪いたい)。でもとてもグイグイ引っ張られる物語だ。お涙頂戴なところは全くないが、数回軽く涙ぐんでしまった。主役3人の演技もとても素晴らしいが、ハリソン(ケビン・コスナー)の役がメチャクチャ美味しい。おそらく彼は、別にヒューマニストで白人と黒人の人権の差を解消しようとかではまったくなく、本当に現実的な効率至上主義の男だ。キャサリンがトイレで困っていて仕事の効率が落ちていると知ると、「白人専用」のトイレの看板をぶち壊し解消。重要な会議にキャサリンが黒人女性のため出席できないと知るとそのルールを破る。そんなにヒューマニストではないが、キャサリンを仕事仲間として全幅の信頼を置いているところが潔くてカッコいい。

■こういった人種差別が、オレが生まれるたった二年前にアメリカで横行していたと考えると怖い。それだけではなくて、なお現在に至ってもアメリカでの白人と黒人の問題、ひいては狂信的な集団「KKK」が未だに活動を続けている。だからこそヘイトは法律で厳しく規制されなければならないし、ハリウッドも時折見せる良心でこの映画を作っているのだと思う。日本だって他人事ではない。人種差別を容認したり看過するような政党が、政権を取ってはいけないのだ。

■まあ、そんな堅苦しいこと考えなくても十分に面白い娯楽作です。興味を持たれた方は是非に。前段にも書いた20世紀FOXの失策で上映館が多くないのは心苦しいけど。あとこの映画、原題が『Hidden Figure』(隠された人たち、もしくは、知られざる人たち、というのが意訳だけど該当するか)で、非常に邦題を付けづらいタイトルというのは理解するけど、最初に発表した邦題が『ドリーム 私たちのアポロ計画』で、この映画で扱った宇宙飛行計画はアポロ計画の前のマーキュリー計画だったので、SNSから「馬鹿か!」とかいう非難が殺到しサブタイを取り下げることになった。まさか炎上で興収を上げようとかのクソな発想ではないことを祈ります。映画単体としてとても面白いんだから。

■おまけ。この映画の数十年後に日本の子会社に勤めていただけなんだけど、IBMの(当時の)メインフレーム(おそらく処理能力は現代のスマホにも及ぶまい)が出てきたところは感慨深いものがあった。IBM関係の人は誰も出てこなくて出演はコンピュータだけなんだけどね。I社関係の人には鑑賞をお薦めします。ちょっとグッとくるかも。

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