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三度目の殺人 [映画]

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■2017/9/9鑑賞@109シネマズ川崎。今年75本目の邦画27本目。

■どうも『海街diary』以降(『そして父になる』以降ではない)、オレは是枝裕和監督の作品が好きになってしまったようだ。昨年の『海よりもまだ深く』もとても良かったし。そんな是枝監督の「新機軸」の「法廷ミステリ」らしいのがこの映画。別にどうあれ新作は観るつもりだったが。

■司法修習同期の弁護士・摂津(吉田鋼太郎)が敏腕弁護士・重盛(福山雅治)の元に持ち込んできたのは、殺人の被疑者の弁護案件。雇い主の食品加工会社の社長殺害について、被疑者の三隅(役所広司)はすでに自供しており、また殺人の前科もあることから死刑は免れないものと見られるが、重盛と助手の若手弁護士・川島(満島真之介)は落とし所を無期懲役と見て動き始める。

■しかし、三隅の供述が会うたびに二転三転することに重盛は違和感を覚える。かつ、被害者の妻・美津江(斉藤由貴)や娘の咲江(広瀬すず)も何かを隠している様子。そして、三隅と咲江は事件前に何度も個別に会っていたことも判明する。三隅に撹乱されて苦悩する重盛。

■ミステリという衣を纏いながら、やはりこの映画も是枝監督の近年の大きなテーマの一つである「家族」の話。わざとミスリードさせるような重盛の幻想のような映像も随所に差し込まれたりとか、単純明快を好むミステリファンにはあまり面白くない映画かも知れない。結末も明示されていないし。

■キャストはまさに適材適所。斉藤由貴なんて今の騒ぎに奇妙に合致してるし(すいません)、検事役の市川実日子、重盛の父親の橋爪功など、個々のキャストに当て書きしたのではないかと思えるくらい。一番凄いのは、役所広司の鵺のような底知れない芝居だろう。この人はやはり日本で一番上手な役者さんの一人だなあと。残念ながら福山雅治は食われております。あと広瀬すず。『海街diary』で是枝監督が彼女を見出し、それから現在まで彼女は数多くの映画に出演している。でも今回観て改めて思ったが、広瀬すずを一番上手に撮れるのは、やはり是枝監督だな、と。

■あまり冷静ではない判断かも知れません。なんせ、横浜(重盛の事務所)・冬の北海道(三隅の出身地)・鉄道・広瀬すず、と、オレの好きなものが四翻揃って満貫になっちゃいましたから。でも、とてもお薦めです。映像も美麗だし。

■あと複数回は観に行くと思います。

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パターソン [映画]

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■2017/9/3鑑賞@チネチッタ。今年74本目の洋画48本目。

■1986年の春。就職で東京に出てきたオレは、何か東京でしかできないオシャレなことがしたくて、休日に渋谷に出かけた。当時プライムの中にあった映画館で、流行に敏感な人に大受けの、ジム・ジャームッシュとかいう監督の映画が掛かると聞いたので。

■『ストレンジャー・ザン・パラダイス』。今でこそ結構あるが、当時はわざわざモノクロームで撮る映画は珍しかった。3人組の男女のロード・ムービーだったのだが、とても面白かった。それ以降、ジャームッシュの作品が気に入って、『ナイト・オン・ザ・プラネット』まで都合4本観たが、それ以降は観ていない。観なくなった理由は覚えていない。

■つまらん前置きを長々と失礼しました。という訳でジャームッシュの映画は驚愕の26年ぶり。怖い怖い。久々に観ようと思った動機は、『スターシップ9』を観に行ったヒューマントラストシネマ渋谷に貼ってあった、この映画のポスターがとても印象的だったからだ。

■ニュージャージー州パターソンに暮らす、パターソンという名の男(アダム・ドライバー)は路線バスの運転手。美しいがやや天然な妻ローラ(ゴルシフテ・ファラハニ)と愛犬マーヴィンと暮らす。毎朝決まった時刻に出かけ、乗務をこなす合間に浮かんだ詩をノートに書き留める。そんな男の一週間の話。

■本当にこれだけの話なので、人によっては退屈かもしれない。でも、パターソンの街の風景、乗客や街の人々との触れ合いとか、何というかとても落ち着く映画なのだ。事件らしい事件は少ししか起きないが、その中でもパターソンにとっての事件はたったひとつ。それが何かはネタバレになるので書かないが、日本人の旅行者(永瀬正敏)がパターソンの前に現れ、彼に救いの手を差し伸べる。そしてそれを観ていたオレも、心を救われたような気がした。錯覚だろうが。

■永瀬正敏は、オレも観た『ミステリー・トレイン』以来のジャームッシュ監督作出演だそうだが、正直この役、メチャクチャ美味しい。主演のアダム・ドライバーは、『スター・ウォーズ フォースの覚醒』に出て以来の売れっ子で『沈黙ーサイレンスー』やその他の話題作にも出ている。いい俳優さんなのだろうが、映画の中で彼を見るたびに「こいつやっぱり、超顔長いよな」と最初に思ってしまうオレでした。大変申し訳ございません。

■知らなかったが、パターソンという街は著名な詩人を輩出しているらしい。だからという訳ではないが、この映画もとても詩的だ。そして思い起こしてみろと、オレが観たジャームッシュの映画は全部詩的だった。それがオレがこの監督を好きな理由のひとつかも知れない。

■万人受けする映画ではないとは思いますが、わたくしこの映画、とても好きです。

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