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新感染 ファイナル・エクスプレス [映画]

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■2017/9/16鑑賞@109シネマズ川崎。今年79本目の洋画(邦画以外)50本目。

■若干興味がなくはなかったが、原題『Train to Busan』が悪ふざけにも程があるとんでもないダジャレの邦題ということもあり、当初は観るつもりではなかった。しかしこれを観たB先輩が、「2016年が『シン・ゴジラ』『君の名は』『この世界の片隅に』の年と言われるのと同じ意味で、2017年を代表する映画だ!」とあまりにグイグイ推して来るので観ることにした。

■例によって韓国の俳優さんの名前はほぼ知らないので全略で。ソウルでファンドマネージャーとして働くソグは、多忙のあまり妻と別居中で、幼い娘・スアンと母とともに暮らしている。スアンの誕生日の朝、プサンに住む母に会いたいというスアンを独りで行かせる訳にも行かず、ソグはスアンとともに高速鉄道KTX(日本の新幹線にあたる)に乗り込むが、発車直前にウイルスに感染したひとりの少女が乗り込んだことから、車内ではウイルスが感染した人々がゾンビ化し、パニック状態になっていた。同時に市街地でも大量のゾンビが発生し、街は大混乱に陥っていた。

■あらすじだけ読むと、「へえ、よくあるゾンビ物か」と思うだろうけど、これがどうして濃厚な人間ドラマなのだ。自分と娘だけ助かればいいと思っていたソグが人間的に成長していくところや、身重の妻を抱え、一見ただの乱暴者にしか見えない男が熱いハートを持っていたり。その反面自己の保身しか考えない乗務員や、傲慢なバス会社の常務など。後半に向かってどんどん話が加速していき、最後まで目を離せない。確かにこの映画、ゾンビ映画というだけで敬遠してたら損かもね。

■けど思うのだ。ある意味感動的な話なのに、なぜゾンビという仕掛け以外で映画化できなかったかなと。人間が突然ゾンビに化けるというのは、たしかに怖いけど定型的なフォーマットでもあるので、オレなんか観てるとつい笑ってしまったりする。ゾンビ映画というフォーマットを最初に考えた方は偉大だとは思うけど、そこでストーリーの感動に水を差された感じがする。対案は何かって?思いつけるようなら別の仕事やってます。

■面白い映画を紹介してくれたB先輩には感謝しますが、オレにとっては「2017年を代表する映画」ではまったくありません。でも懲りずに、今後も面白い映画を教えて下さいね。

■ところで最初にも書いたがこの邦題はひどすぎる。このせいで日本での興収、2割くらい損してると思うよ。

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奥田民生になりたいボーイと出会う男すべて狂わせるガール [映画]

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■2017/9/16鑑賞@109シネマズ川崎。今年78本目の邦画29本目。

■大根仁監督の作品は、映画は公開作をすべて観ているし、ドラマもおおむねチェックしているので、まあファンと言っていいだろう。という訳で今作も前のめり気味で観ることになる。渋谷直角の同名漫画が原作というところは、『モテキ』『バクマン。』と同じだが、渋谷直角の原作漫画はこれらとは売上の桁がかなり違う。まあ、知る人ぞ知るっていう漫画なのだけど、映画が面白ければ別に問題ない。

■社内異動で、オシャレなライフスタイル雑誌に配属になったコーロキ(妻夫木聡)は、奥田民生を理想とする男。酸いも甘いも噛み分けたような木下編集長(松尾スズキ)の元、シャレオツな雰囲気に馴染もうと努力するが、そんな時取引先のアパレル会社のプレス・あかり(水原希子)と出会い一目惚れ。ちょっとしたやり取りの後、何とかあかりと付き合えることになったコーロキだが、そこからコーロキには地獄が待っていた。

■基本ラブコメなんで、以降のあらすじを追ってもあまり意味がないが、要はビッチ女に振り回される純情男という、大根監督お得意のパターン。冒頭からコーロキの過剰なモノローグで話が進んでいくところは『モテキ』の幸世を彷彿させるし。テンポが良く楽しいし、あかりに袖にされるあまり、コーロキが執拗に電話やメールしてストーカー寸前まで行ってしまうところとか、夢中になり過ぎた男がやりそうな事で心が少し痛い。

■シリアスからコメディまで何でもやれる器用な妻夫木くんだけど、これは彼の当たり役のひとつだろう。そして大根組には毎度おなじみの新井浩文とリリー・フランキー、大根組には初登場の松尾スズキなど、味わい深い。ただリリーさんと松尾スズキはオレと同世代で、劇中でもそういう役なのだが、こじらせて年取った感じがまたもや心が痛い。安藤サクラと江口のりこは、顔がよく似ているので途中でちょっと混乱した。大根監督が面白がってわざとやってる訳じゃないよね?

■ハイスピードカメラを使ってスローのシーンを劇中に挟むのは大根監督の悪癖で(とオレは思う)、それで正直テンポが削がれるところはあるけれど、時間も100分弱と短いし(『ダンケルク』もそう書いたけどあくまで一般論ね)十分な娯楽作になっていると思う。

■ただヒロインの水原希子。オレはどうもこの女優さんが苦手なのだ。なのでコーロキが狂わされるというところにあまり感情移入ができない。例えば『モテキ』では、長澤まさみがあんなことやこんなことをしてくれるので(実はそんなに大したことじゃないけど)観客の男は頭がおかしくなったりした訳だ。なのでもしヒロインが石原さとみとかだったら、オレもこの映画を観て頭がおかしくなったに違いない。まあでも石原さとみだったら、あそこまでエロくはできなかったか。という話を知人女子にしたら、「えー希子ちゃんカワイイじゃないですかー」と不満たらたらでした。なので水原希子ファンの方なら、この映画を観て頭がおかしくなれるかも知れません。ただ、知ってる範囲で、水原希子のファンの男っていないんだよな。

■あと、ドラマはそんなことはないのだが、大根監督の映画は、インディーズの『恋の渦』を除いて、舞台がすべて「業界」というのが少し気になる。『モテキ』はネットメディア、『バクマン。』は漫画出版社、『SCOOP!』は写真週刊誌、とかね。テーマも内容も全部違っているんだけど、我々の若かった頃と同じく、主要な観客層である今の若者はそんなに「業界」に興味があるのかな、という疑問。次回作はまったく別の世界を舞台にして欲しいな、とも。

■グダグダ書きましたが、映画自体はお薦めです。よろしければ。

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